【前回コラム】「ストリートダンサーと一般人の間に流れる深い川、「グルーヴ問題」について」はこちら
個人やカンパニーのカラーが前面に出る。だから「誰」にお願いするかから考えよう。
これまでの連載はどちらかというとストリートダンスのお話でしたが、今回はコンテンポラリーダンスのお話を。
PVは別として、CMだともしかしたらコンテンポラリーダンスの方が踊られていることが多いかもしれませんね。
面白い動き、奇妙な動き、インパクトのある動き…、など数秒で視聴者の心をつかむには、「上手い」ということとは別の「不思議」「すごい」などのある意味常識離れしたダンスが求められるからでしょうか。
そんな不思議なダンスをする不思議な人に、「どうやってディレクションすればいいんだ!」というのもよく聞かれる悩みの一つ。
この原因はおそらくコンテンポラリーダンスが「抽象的」であることと「芸術的」(エンターテイメントではない、という意味だと思ってください)であることの二つだと思いますが、今回はこの問題を解決したいと思います!
まず、コンテンポラリーダンスについて、ちょっとだけ勉強してください。
第二回でも少し書きましたが、コンテンポラリーダンスというのはジャンルではないんですね。定義できないからコンテンポラリーというざっくりした言葉で表現されてきたように思います。私は意味や意志を伝える、表意的ダンスだと第二回で仮に定義しました。
ストリートダンスはある程度明確なスタイルがありますが、コンテンポラリーは本当に様々です。むしろ、「既存のダンスを破壊してやるぜ!」という志を持っている人がわんさかいます。
ということで、もはや系統立てて理解するのは不可能なので、それぞれのスタイルを分けるのはジャンルではなく、「個人」(やカンパニー)のカラーだと思って、仕事をしたい「人」を見つけるのがいいと思います。
百聞は一見に如かずということで、色々なコンテンポラリーダンスの映像をご紹介していきますので、なんとなく輪郭を掴んでいただければ!
まずは、分かりやすく一般的にも著名な方々から。森山未来さんはほとんどの方が役者さんとして認識されているかと思いますが、コンテンポラリーの名ダンサーです。
土屋太鳳さんも、これで踊っているのはコンテンポラリーと言えると思います。大学で舞踊系の学科に行かれただけあって、身体と技術が確かです!
(ちなみに振付の辻本知彦さんは第一回でご紹介した米津さんの映像の振付も。シルク・ドゥ・ソレイユでも活躍した第一人者です)
故ピナ・バウシュは、ヴィム・ヴェンダースが映像化したこともあり、映像業界にも好きな方が多い印象。舞台上のシーンが美しいというのも彼女の特徴。
インバル・ピントは童話的世界観でかわいさと不気味さが同居した作風。
日本では舞台「100万回生きたねこ」を演出しました。
シディ・ラルビ・シェルカウイは舞台プルートゥやテヅカの演出などをしています。映像や道具使いが面白いですし、人間の内面に迫る作品が多くあります。
日本の団体で一般の方が真っ先に思い浮かべるのはコンドルズでしょう。
サラリーマン体操が有名ですが、コントのようでもあり、見ていて楽しいダンス。
これが全部コンテンポラリーダンス、ということでかなりカオスですが、雰囲気だけ掴んでください。