辺境の異種格闘技。ACC賞「ブランデッド・コミュニケーション部門 」審査委員座談会<Part2>

島国だからいいかなと思って。

菅野:プロジェクト型の仕事は、ちゃんと全体像を説明しないと文脈がわからないから、2分とかの応募ビデオをつくって応募するのが、海外広告賞の通例としてあるじゃないですか。それでも、海外広告賞の審査では、当然審査委員が日本人のタレントさんを知らないし、ダジャレもわからないし、こういうのが流行っているからという社会的なコンテクストも共有していないから理解してもらえない場合も多い。
この部門だと、審査委員が全員日本人だし、多くの人が日本に住んでいるから、そういう日本らしいハイコンテクストも含めて評価できる。だから受賞結果が違うんじゃないかなと思っているんです。やってみないとわからないけど。

嶋:おもしろいね、いいね。

東畑:尾上がやっていることって、そこがピュアだよね。ざわつかせるために、その場所で生きている人のコンテクストに深く関与するというか。それまでの培ってきた“なにか”を共有しているところに打ち込む。そこを共有しているかで、全然見え方が違う。
この部門に応募するためにも、応募ビデオが必要になってくるんですね?

菅野:一応、無くてもいいことにしていて。

嶋:無くてもいいのはすごくいい! ケースビデオってね、いいんだけど、広告業界の悪習になってしまってるところもあるよ。

東畑:応募ビデオをつくるスキルっていうのがまたね。

嶋:ほんとにね。そのスキルだけで賞獲りやっているやつとか、ホントよくない。

橋田:でも最近もう、ビデオの質じゃ獲れない感じにはなっている気がしますよね。

嶋:でもね、新しい村の人たちの門の扉を開けるためには、あれはハードル高すぎると思うんだよね。なくていいと思うの。無くしたからどんどん出して、という感じ。

菅野:作品の映像か画像、もしくはプロジェクト説明ビデオ、もしくは説明のボード、の4つのうちどれか1個以上出してくださいという感じです。あとは共通で、テキストで概要というか説明文で応募出来ます。

嶋:逆に言うと、俺らがちゃんと読み取らなきゃいけない。

菅野:島国だからいいかなと思って。

嶋:いいね。島国だから。いい見出しだね。

一同:

菅野:賞が、普段やっている仕事とかけ離れ過ぎていると意味ない。
本当にいい仕事をすると、褒められる場があるかも、という感じにより近づくといいな。

東畑:世の中、もっとピュアに仕事ができるという応援になる。あらゆることをとっぱらって。

嶋:そうそう、応募ビデオから逆算したような仕事は出てこなくていいと思うよ。

次ページ 「新しいギネスブックと、新しいミシュランガイドを探す。」へ続く

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