山内ケンジさんは「お父さん」のような存在?
中村:改めてご紹介のほどをお願いしたいんですが、どんな舞台をやってらっしゃるんですか?
初音:「自己紹介読本」という舞台で、演出が山内ケンジさんです。これは見知らぬ者どうし、知ってる者どうしが自己紹介をしあって、そこから妙な流れになって、流れていくという。
一同:(笑)
権八:面白いな。山内さんと言えば先週出てくれた香取慎吾くんの『クソ野郎と美しき世界』エピソード2の監督でもあるわけですね。
澤本:歌を喰べる、のパートね。
権八:はい、「慎吾ちゃんと歌喰いの巻」の監督でもある山内ケンジさんのお芝居。でも、山内さんのお芝居は何回か出られてるよね。初音さんは常連。
初音:はい、昔から知ってるので、私のいいところも悪いところも全部知ってる方なので、稽古をしていても遠慮なしに素直に話せるし、家族、お父さんというか、大事な人というか。そういう感じですね。
権八:初音さんのいいところ、悪いところはどんなところですか?
初音:それは山内さんに聞いたほうが(笑)。山内さんってラジオに出られて、おしゃべりなさるんですか?
権八:しゃべりましたよ。なんで来たんでしたっけ?映画『友だちのパパが好き』のときかな。この舞台はもう脚本はできてるってことですよね。
初音:これは再演なので。でも、初演のときは稽古初日に10ページちょっとぐらいしかできてなくて。
澤本:え、10ページ?
初音:そこからみんな稽古していって、その様子を山内さんが見て書いていく感じで、当て書きですよね。だからみんなの個性がギュッと詰まっているというか。
権八:山内さんは広告業界でいうと、澤本さんと一緒にやられたソフトバンクの犬のお父さん、白戸家のCMの初期もね。
澤本:そうだね、あれは山内さんが全体のトーンをつくってくれたから。あの犬を選んだのも山内さんなんですよ。犬のオーディションをして、この犬がいいって。結果、選ばれたのがカイくんで。だから山内さんのお陰ですよ。
権八:静岡のパチンコチェーン「コンコルド」のCMなど、広告業界にもファンが多いし、独特のブラックなというか、シニカルな目線で。でも、とても奥深い、物事の本質をえぐってくる。だから、山内さんの芝居を見に行くと、面白いんだけど、決してハッピーエンドにはならないし。
澤本:急に終わったりするよね。
初音:急に終わりますね(笑)。
権八:人間のドロドロした嫌な部分をあえて乾いた笑いに変えたり、独特の後味がありますよね。毎回、ズドーンとなるというか。
中村:そうですね。CMだと独特の早いテンポ感が。
権八:セリフ回しがね。
中村:それで軽妙な、面白いもの見たわ、という感じにさせてくれて。映画、映像、演劇、もうちょっと尺があるものになると、急に持ち味のダークな部分が出てくる印象がありますね。
初音:お客さんがお芝居見ると、面白かったと笑ったりなさるんですが、よく考えるとすごい怖いシーンがあったり、ダークなところがずっと流れてたり、そういうのが好きですね。
権八:昔の広告で言うと、NOVAの「オーユードロプト ア ハンカチーフ」という、一世を風靡したCM。あと、TBCの「ナオミよ」、UFO仮面ヤキソバン。15秒にどれだけセリフをぶち込むんだという、ある種のフォーマットを完成させた人ですよね。確かに芝居、映画は面白いけど、ちょっとダークで。僕、初音さんが出ていた映画『ミツコ感覚』が好きなんですよ。変な、気持ち悪い映画(笑)。
初音:すごい変ですよね。