「※ただし、有名企業に限る」?
今年一番驚いたのは、ショートリストにおけるグローバル企業比率と欧米比率の高さです。(逆に、日本をはじめ、アジアは本当に少なかったです。)
今年は本審査の人数を絞り、その分オンライン審査の人数を増やしました。
大人数で絞ったロングリストをもとに、本審査で1つひとつじっくり議論をしようという事務局の意図なんでしょう。
ただ、オンライン審査は1人で見なければいけないので、どうしても「自分が知っている・理解できるキャンペーン」の評価が高くなりがちです。(業界ニュースになるようなグローバルキャンペーンなど)。さらにオンライン審査の人数が多いことで、そこで絞られるのは審査員たちの評価の「最大公約数」なものになります。
さらに、これは複数の審査員に聞いた話ですが、オンライン審査員によるロングリスト選考の段階で、すでに応募数の1/3〜1/7以下になっていた部門がありました。その結果、審査員たちの最大公約数として選ばれた有名企業のキャンペーンばかりが残り、「小さいけれどアイデアフルなキャンペーン」は本審査で議論される前に、落選してしまったようです。
さらに、本審査における、審査員のバランスも気になります。今年のカンヌでは審査の議論を深めるために現地審査を10名程度(例年は15〜20名)に絞ったため、「欧米人が過半数、アジア人は1〜2人」というケースが多かったようです。そのため例年よりさらに、欧米で有名な企業や、欧米的インフルエンサーや、社会課題への対応が評価されやすかったのでは?と野暮なことを思ってしまいました。
そういう意味で今年のカンヌは、サッカーW杯のような世界中の国によるフラットな競争ではなく、CL(ヨーロッパチャンピオンリーグ)のように限られた大国と価値観の中での競争だったのかもしれません。
日本の応募作にもたくさんあったはずの、小さいけど新しいアイデアたちが議論のテーブルにさえ上がれなかったことが今年は少し残念でした。
(カンヌは世の中のDiversityだけでなく、アイデアのDiversityにも目を向けてほしいですね)
※来年の応募対策をするならぜひ、上位受賞作だけを見るのではなく、
ショートリストの日本の応募作に何が残ったかを見て、その法則を見つけることが必要になってくると思いました。
嶋野裕介
電通 CDC クリエーティブプランナー/PRプランナー
1980年生まれ。東京大学卒業後、電通へ。マーケティング局、営業局、デジタル局、シンガポール勤務などを経て、3回目の転局試験でようやくクリエーティブ局へ。デジタル&PR を中心にした統合ディレクターとして「PRIUS! IMPOSSIBLE GIRLS」「#金曜日の新垣さん」「同棲解消ホケン」「フリー素材アイドルMIKA+RIKA」などを制作。SPIKES ASIA, NY Festivals、ヤングカンヌなどの審査員。
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