300年前から伝わる伝統織物を使った新商品を開発
そんなヒッコリースリートラベラーズが新しく取り組むのが、新潟の綿織り物の産地・亀田地区の織物を使った商品開発だ。縞模様が特徴の「亀田縞」と呼ばれる伝統織物を使ったハーフパンツなどの新作を、「亀とうさぎ」のブランド名で発売した。
「亀田縞は、水気が多く湖のようなこの一帯で農作業を行う農民が、水と泥に強い綿織物を求め自作したことをきっかけに生産が始まりました。いわば野良着のために作られた織物なので、とても丈夫です。戦後いっときは姿を消しましたが、2002年に2件の織物工場が復活しました。横織と縦織が得意なそれぞれの会社の良さを生かして、横縞のハーフパンツと縦縞のパンツを作っています」。
開発から縫製までを手がけたのは、新潟にUターンし産地との商品開発に取り組んでいた服飾デザイナー・横山英也さんだ。迫さんらが30代の自分たちが本当に使いたいものをと考えた結果、パンツというアイデアが生まれ、横山さんの協力があって実現したという。
ヒッコリースリートラベラーズの仕事は、どれも等身大感覚のデザインで、使う人の日常に目線が合わせられている。「自分たちらしく楽しく伝えることを追求すれば、それが自分たちらしいデザインの可能性を拓くことにつながっていく」と迫さんは話す。肩肘張らず柔らかく、地域と共生するデザインのあり方がここにある。