天才である必要はない。「普通の人」だからこそ、企画ができる(ゲスト:グランジ)【後編】

尾形真理子さんのコピーは「あるあるネタ」?

権八:『全米は、泣かない。』、いろいろ面白そうな内容がありますね。

五明:ルミネの広告をつくった尾形真理子さんのお話も面白くて。芸人の「あるあるネタ」ってあるじゃないですか、それに尾形さんの広告は似てると思うんですと言ったら、「確かにそうかもしれません」と。ということは、尾形さんはあるあるネタのスペシャリストなので、「どうやったらウケるんですか?」と聞いたんですよ。

そうしたら、「3人いて1人がストライクぐらいのものを投げるのが一番いいんじゃないか」とおっしゃっていて。ちょっと手を伸ばして取りやすいところに置いてあげると、受け手が気持ちよくなると。なるほどなと。たとえば、あるあるネタで「冷蔵庫を開けて麦茶を飲んだら麺つゆだった」ってあるじゃないですか。

遠山:よくあるやつね。

五明:そう、そんなのは3人中3人がストライクなわけでしょ。でも、確かに一番ウケるのって、あるあるを言って、ちょっと間があって、ザワザワといく感じのときなんです。そういう話は面白かったですね。

権八:なるほど。本にも書いてあるけど、ルミネのコピーでも、「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」というコピーは、一瞬、え?となるけど、あーそうなんだなぁと。みんながみんなかわからないけど、確かに3割ぐらいの人がグサッと来る感じがあるんじゃないですかね。

五明:これは尾形さんの実体験ですか?と聞いたら、「全然違いますね」と言ってましたけど(笑)。

権八:本当ですかね。実体験なんじゃないですか(笑)。

五明:実体験はあまりコピーにされないとおっしゃってました。

遠山:そう考えると全員にウケなくていいということでしょ。全員にウケようとすると、めっちゃ難しい。大人も子どもも納得させないといけない、となると難しいけど、ピンポイントで絞っちゃったりしたら逆によいのが出たり。

五明:それが3人に1人なのかね。僕らの吉本の先輩にRGさんという方がいて、「あるある言いたい」というネタがあるじゃないですか。いつかルミネtheよしもとで尾形さんのコピーをRGさんが叫ぶイベントをやってくれないかなと思って。

権八:それいいね、ちょっと面白そう(笑)。

五明:RGさんはいろいろな芸人とコラボしてるから、ルミネあるある言いたい。

遠山:最終回だね、たぶん。ルミネが閉まるとき。

権八:あるあるもそうなんだけど、さっきの舞台やマンガをたくさん見るという話。もちろんそれは自分の中にアーカイブを蓄積していくこともそうだけど、いろいろな人生の経験もアーカイブするというか。あるあるってそういうことじゃないですか。ここには登場してないけど、福里真一さん。

遠山:お会いしたことあります。トークショーのお仕事もさせてもらって。

権八:福里さんもよく言ってるけど、「企画とは記憶である」と。つまり、企画、あらゆるアイデアは自分の記憶から来ると。だから、ゼロから新しいことを生み出すんじゃなくて、自分の中に既にあるものからしか生まれないんだよと。その通りじゃないですか、実は。

五明:確かにそうですね。

権八:コントだってつくるとき、絶対に自分の経験、見たり聞いたりしたことがベースになるわけで。五明さんはネタ帳をつけてると言ったじゃないですか。今もつけてます?

五明:はい、iPhoneの中のメモだったりに。

権八:どういうメモなんですか?

次ページ 「自分の企画が面白いか、最初にジャッジできるのは自分自身」へ続く

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