自分の企画が面白いか、最初にジャッジできるのは自分自身
五明:コントの設定、思いついたら設定を書いて、そこにハマりそうな流れを。それだけ見たらワケわからないです。バーッと書いてあって、考えようって思ったときにそれを開いて、広げていく感じですね。
権八:澤本さんはメモしたりします?
澤本:メモするんだけど、どこかにいっちゃうね。
権八:レシートの裏に書いてるんですか?
澤本:そういう感じ。
遠山:ノートを持ち歩いたりは?
澤本:一応、ノートをつくるんですけど、毎日は持ち歩かないので、違うものに書いていって、なくなってます。でも1回書いちゃうと覚えてるよね。全部は覚えてないけど、書いた中で面白かったものは何となく覚えてるから、メモをするという行為は記憶を確定するのに役に立つと思います。
五明:権八さんは持ってるんですか?
権八:昔は書いたりしてたんですよ。僕らが若い頃に講師の方に習ったことで面白いと思ったのは、僕らの仕事は聞いたり、見たりした人の感情を動かす仕事だと。面白い、グッときた、泣けた、何でもいい。それを自分で書いて、どこでジャッジするかは、自分が書いたものに自分がどう思うかしか基準がないじゃないですか。
だとしたら、自分が日々暮らしていて、感情が流れた瞬間、電車に乗っていて席立たない若者がイラッとしたなど何でもいいけど、その瞬間を若い頃はいつもメモして・・・でも面倒くさいから辞めちゃった。
一同:(笑)
遠山:取り入れたいと思ってたのに。この感情をどうしたらいいんだよ!
権八:結局、自分が基準になるじゃないですか。こういうことがあるとこう思うんだ、じゃあ多くの人も恐らく同じような感情になるんじゃないか。その信頼において企画するというか。これは僕しかわからないだろというものは意味がないわけだから。よく言いますよね、普通の人じゃないと企画できないと。天才じゃなくて。
遠山:真っ当な感覚がある人じゃないと人の気持ちがわからないと。
権八:そうそう。
澤本:そのあたりのことは僕らが見つけたわけじゃなくて、だいたい先輩にそう習ってきて、受け継がれてきてることが多いんですよね。CMを考えるときも、紙に1枚1枚企画を書くわけです。5案あったら5枚。僕ら1、2年目は書いたものを先輩に見せるんですよ。
昔、先輩に出したときに言われたのは、「これは君、面白いと思ってる?」。つまり、自分が面白いと思ってるものを書いているのか、人が面白いと思うと思って書いているのかという意味で。結局、自分が面白いと思う、自分が好きというものを書かない限りは、本当に気持ちが入ったものはできないよということで、それが効いていて。
僕が今までにつくったCMでみんなが褒めてくれたのは、自分でも面白いと思ってるものだったの。こうすると、世の中的にウケるというものも書かないといけないし、書いてますけど、そのときはさほど。70点ぐらい。そこから上に跳ねない感じがありますね。