ダンサーを「ダンスアーティスト」に変えた!?動画サービスの変遷

Tik Tokの動画は「他愛ない」からこそシェアされやすい

最後に、今一番話題になっているTik Tok!
これはもう世代的に正直理解できる範疇を超えているところがあるのですが、音楽に合わせた口パク・ダンスのショートムービーをシェアするアプリ。

広告でも少し使われるようになってきましたが、現在爆発的にユーザー数を増やしているところですね。

Instagramの次に来る巨大サービスは何か、というのを世界中が追い求めているところに中国から登場した伏兵。

Tik Tokの特徴はいわゆる「盛れる」映像を極限まで簡単に撮影・投稿できるように最適化されていること。映像は15秒なのですが、定番楽曲(もはや曲ではなく芸人さんのネタの一部や、赤ちゃんがしゃべってるだけ、というようなものも)が多数提供されていてそれに合わせてユーザーが自由演技して、加工などできるようになっています。

YouTube、Instagramからの流れからさらに加速した「他愛ない」映像なのですが、その「他愛なさ」こそが現代の若者が日常的にシェアするのに重要なファクターなのだと思います。

(この映像のErikaさんとMarinaさんは姉妹TikToker。なんと二人合わせてフォロワー70万人以上)
すでにタレントさんがオフィシャルのアカウントを持っているケースもありますが、ダンサーがここからスターになっていくケースもこれから増えることでしょう。

ダンサー視点で解説すると、Tik Tokの中で踊られているダンスは、曲・歌詞をなぞるように、言葉を動きに変換したものが多いですね。

「目」という言葉の時に目を触るとか「あなただけ」の時にカメラを指さすとか、「好き」の時に手でハートを作る、みたいなことです。

それをつないでいくので、ダンスとお遊戯の中間ぐらいの印象ですが、それが踊りやすさ、マネしやすさにつながっていると思います。

まだ、ダンサーが本格的に参戦しているという感じもしないので、ブルーオーシャンと言えるかもしれません。

私がこのコラムのタイトルにつけた「国民総ダンサー時代」というのが「盛ってるなあ」と思われた年配の方にこそ、ぜひこのTik Tokを覗いて見てほしいと思います(笑)。

ここで踊りまくっている中高生があっという間に大人になるわけですから。

ダンスが独自の変化・進化を遂げ、若者たちの「生活」の中でごく自然な行為として浸透しているということがお分かりいただけるかと。

ダンサーも、よりチャンスが広がった反面、その変化に対してどのようにアプローチしていくのか、という姿勢を問われることになってくると思います!

1 2 3
飯塚浩一郎
飯塚浩一郎

1978年生まれ。コピーライター・クリエイティブディレクターであり、ダンサー・振付家。言葉と身体をクリエイティブの両輪に、広告・映像・舞台・ファッションなど様々な領域を自由に行き来して活動している。慶應義塾大学卒業後、株式会社博報堂を経て、株式会社DAZZLE設立。広告においてはカンヌ広告祭シルバー、アドフェストゴールド、TCC新人賞など受賞。ダンスにおいてはダンスカンパニー「DAZZLE」で海外の芸術祭にも数多く招聘され、2017年のカザフスタンアスタナ万博のジャパンデーでもパフォーマンスを行う。坂東玉三郎演出の舞台「バラーレ」で主演を務めるなど、様々なアーティストとのコラボレーションも。都内病院を舞台に行われた日本で初めての本格的イマーシブシアター公演「Touch the Dark」は即日完売となり、多方面から注目される。

飯塚浩一郎

1978年生まれ。コピーライター・クリエイティブディレクターであり、ダンサー・振付家。言葉と身体をクリエイティブの両輪に、広告・映像・舞台・ファッションなど様々な領域を自由に行き来して活動している。慶應義塾大学卒業後、株式会社博報堂を経て、株式会社DAZZLE設立。広告においてはカンヌ広告祭シルバー、アドフェストゴールド、TCC新人賞など受賞。ダンスにおいてはダンスカンパニー「DAZZLE」で海外の芸術祭にも数多く招聘され、2017年のカザフスタンアスタナ万博のジャパンデーでもパフォーマンスを行う。坂東玉三郎演出の舞台「バラーレ」で主演を務めるなど、様々なアーティストとのコラボレーションも。都内病院を舞台に行われた日本で初めての本格的イマーシブシアター公演「Touch the Dark」は即日完売となり、多方面から注目される。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ