MuleSoft社の買収の背景にある、統合の必要性
各クラウドの連携、つまりクラウド間のConnectionsによる強力な成長が、様々な業界・企業の事例を通して例証された。本イベントでの連携とは、「データやデジタル上の活動を管理するセールス、コマース、マーケティングなどの分野に分かれた各種のクラウド」や、「ウェブやSNSなどに発信するクリエイティブ創出のツールである各種スタジオ」を組み合わせることを指している。
連携によって、対応できるタッチポイントが増え、かつ相互に統合できるので、包括的に消費者の期待に応え、効果的に期待を超え、効率よく満足を提供しやすくなる。この連携をセールスフォース・ドットコム社によるMuleSoft社の買収が直接的に関係している。むしろ、連携のためにMuleSoft社を買収したと考えるのが理にかなっていると考える。
同社のユニークな技術は、各種データを簡単に接続することにある。従来、歴史的にサイロ化されたデータの統合は、手動でなされることが多く極めて手間のかかる作業であった。MuleSoft社はこれらの大部分を自動化することに成功した。収集・蓄積の経緯や出自が異なり、多少ばらつきのあるデータ同士であっても柔軟に統合していける。
統合のためにはハブが必要となる。そのハブとして顧客を据えようというのが、「顧客中心の企業活動の提案」なのだろうと解釈できる。企業によっては消費者ではなく製品にその役を担わせることもあれば、自社ブランドを中核に据える、あるいは創業者本人のカリスマが中核となることもあり、それぞれに利点・欠点もある。
中でも消費者を中心とすることは、社内外に最も正統性を主張しやすく大義を感じやすい。論理的に考えれば、最終的に自社の売り上げや利益をもたらしてくれるのは消費者である。消費者の満足のためにブランドがあり、ブランドのベネフィットを具現化するために製品があるのだ。
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