CMがミステリーの謎を解く鍵に 広告とコンテンツが融合した「アドフュージョン」ドラマの仕掛け人対談

スポンサーは、サントリー、LINE、イモトのWiFi、テレビの新たなチャレンジを共に楽しむ

明松:一番の壁はスポンサーが決まらないと脚本があがらない、脚本があがらないとキャスティングが進まない、キャスティングが進まないとスポンサーが決まらない。「やばいぞ、どうするこれ!」となったところを、中尾がCMにあたる部分の台本を仮で書きまくって打開してくれました。

中尾:明松さんとは早い段階で、推理モノにしようという話になっていました。広告を面白おかしく編み込めるからです。それで、とにかくいろいろなシーンを想定して、「刑事が取り調べするシーンで広告商品を入れるとこんな感じ」というように、台本を書いていました。最初はスポンサーの皆さんも、新しい未知のことなので、面白がってくれました。

次のステップとしては、この取り組みのどこに価値を見出すかを考えていきました。従来の接触効率のような評価軸だと「スポットCMの枠を買って、純広告でいい」という話になってしまう。今回協力いただいたスポンサー企業は、テレビや広告の歴史においてエポックメイキングなチャレンジを一緒にできることに対して、大きな価値を感じてもらうことができました。

架空の台本をベースに協賛していただいたサントリーホールディングス(クラフトボス ブラウン、デカビタC ダブルスーパーチャージ)、エクスコムグローバル(イモトのWiFi)、LINE(LINE Clova Friends mini)
の3社には、本当に感謝しています。

—番宣CMに、明松さんやスポンサー企業の方が出演されていましたね。「ドラマの中で商品をどんな風に宣伝するか」を考える会議風のつくりになっていました。

 

 

 

 

明松:番宣で、スポンサー企業や僕が露出していたのは、番組に関わる全ての人がこのドラマを面白がって、前のめりに楽しんでる感じを伝えたかったからです。

中尾:かなり早い時期から、明松さんには番宣コンテンツのイメージがありましたよね。スポンサー企業の皆さんも一緒になってこのドラマを面白がっていることを伝えるのが、番組の一番の宣伝になる、ということを教わりました。

明松:スポンサーも、演者も、作る我々も楽しんで作る。それが大事だと、合言葉のように言っていました。後藤庸介監督が頑張ってくれたおかげで、演者さんもCMシーンに前のめりに取り組んでくれました。

中尾:新しい試みに臨機応変に対応しながら、その過程を面白がってくれる人が集まってつくったドラマでした。脚本とスポンサー交渉を並行してやっていたので、あらすじができている状態なのに、僕が「ここにCM商品のネタを挟めないですか」という話をしていったのですが、脚本の森ハヤシさんは「それならこうした方が良くなるのでは」と面白がってくれました。

—ドラマでは、冒頭にストーリーテラーとしての滝藤賢一さんが登場してこう語り出しました。

「テレビドラマが無料で見られるのはコマーシャルのおかげ。民法のテレビドラマにコマーシャルは必要不可欠なものです。とはいっても、テレビを見るとき『次はどんなCMが流れるの』って思っている人は、正直あまりいないはずです。今夜はあなたを、CMが気になってしかたない、未知なる世界にお連れします。これから放送するドラマは、とあるスポンサーさんの4つの商品コマーシャルが、物語の重要な鍵となって入り込んでくる、つまり〝スネークイン〟してくる突然コマーシャルドラマです」

明松:滝藤さんのパートは、僕も撮影に立ち会いました。「スネークイン」のところで、蛇のようなジェスチャーを入れてもらって。「スネークイン」というのは音声用語で、フェードイン、フェードアウトよりももっと自然に、いつ入ったかわからないくらいに入って、いつ終わったかわからないくらいに消えていくような音の入れ方です。お笑い芸人さんもトーク番組で自然に話題に入って笑いを取ったときに「いい感じでスネークインしたな」と言うこともあります。

一般的な言葉ではないのですが、CMのスネークインは、今回の企画のキーワードだったので、ジェスチャーを加えることであえて説明せずに使いました。

中尾:ジェスチャーを付けることで、CMがドラマにニュルっと入ってくることが感覚的にわかるようになりましたね。

明松:今回は、アドフュージョンドラマの第一弾として、広告をコンテンツになじませることが大事だったので、「スネークイン」のキーワードにはこだわりました。

CMが、物語の重要な鍵となって〝スネークイン〟してくる

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