カンヌ初参加者から見たカンヌライオンズ2018リポート&セミナー実況②(Saatchi & Saatchi & MPCセミナー、Film部門解説)

こんにちは、アサツー ディ・ケイの澤邊浩祐(さわべ・こうすけ)です。

「実況」というには時間が経ってしまいました…。すでにカンヌに行ったのが随分前のことのように感じられる中、みなさんは「今年はこんなものが獲ったんだ〜」とアワードの結果を確認しているかと思います。

さて、前回のレポートではセミナーを中心に書かせていただきましたが、今回は、自分のメイン業務がCMプランナーということもあり、Film系の話がメインになります。アワードを獲った作品を中心にいくつか気になったものをご紹介したいと思います。

といいつつ、まずはセミナーレポートを。

カンヌでのセミナー③
Saatchi & Saatchi & MPC「NEW Directors’ Showcase with Ridley Scott」

セミナー人気No.1!?
並ばないと入れないとたくさんの人に言われた若手ディレクターショーケース

スクリーンを埋め尽くす映像サムネイル

数多くのヒット作を生み出す映画監督 リドリー・スコット

「最も人気が高い」と噂されていた、若手ディレクターのフィルムショーケース紹介セミナー。ただでさえ大人気で、さらに映画監督のリドリー・スコットが登壇するということで、朝から気合を入れて並びました。

スコットは「映像制作で重要なのは、ストーリーテリングだ!」と何度も強調していて、「いまの映像は手法に頼ったものも多い」という旨の話をしていました。

「ふむふむ、なるほど」と思いながら、いよいよ映像の上映開始!
約50分間に渡り、十人十色のキレッキレな作品が放映され、本当にあっという間に時間が過ぎてしまいました。下手な映画よりも、圧倒的に面白かったです!もし来年カンヌで開催されていれば、ぜひオススメのセミナーです。

ここでは流れていた映像の一部を、ご紹介します。

「THUNDER ROAD by Jim Cummings」

 

当日は3分の1くらいに尺が調整されていましたが、実際は10分を超える長尺ものなのだと後で知りました。
(「長いよ!」という方は、5分30秒くらいから見ても十分わかるかと思います)

会場ではもうゲラゲラ笑ってしまい、「笑ってはいけない状況だけど、笑えてしまう」という禁忌をコメディタッチで絶妙に描いているなと感じました。言葉がよくわからなくても世界共通の笑いをつくるひとつのやり方として、勉強になります。

「Frozen – Ben Proulx & Joyner Lucas -」

 

これは衝撃的なカットの映像が続きますが、最終的なメッセージに行き着くまでの映像手法と、大きな構成上のストーリーテリングが上手いなという印象でした。

個人的にはこういう映像は苦手なのと、日本ではあまり使われていない手法ですが…。もしこれで登場人物が映像として動いてしまっていたら、当然ながらただの事故現場映像で終わってしまうし、逆にいい意味でのエグさがなくなってしまうのかなと思います。

次ページ 「Film Craft部門とFilm部門の違い(日本人審査員のお話から)」へ続く

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ