当日は広報関連部門のマネージャーらが参加し、ワークショップ形式で進行した。第1部は、東京都市大学 都市生活学部の北見幸一准教授が登壇。北見氏は電通パブリックリレーションズ出身で、広報コミュニケーションの実務と研究に携わってきた立場から「経営方針」を社員に浸透させるためのインターナルコミュニケーションの重要性について解説した。
「現場の人たちは目の前の業務に精一杯になり、時折目的や目標が見えなくなってしまうことも。経営方針という目標達成に向けたストーリーを共有することで日々の業務の指標にもなり、効率化につながります」。
一方で、「情報を『共有』するだけでは真に伝わっているとは言えない」とも指摘する。「管理職以上は経営理念の浸透に成功していると感じていても、一般社員との間にギャップが存在するケースは多い。ワークショップやアイデアコンクール、社内表彰など参画型のイベントで従業員を巻き込み、『実践』につながる仕掛けづくりが重要」と分析した。
計画を立てる5つのヒント
第2部では、産業編集センター はたらくよろこび研究所の相山大輔氏と石原良平氏のナビゲートのもと、ランチセッションを開催した。社員向け動画の実例を紹介しながら、経営計画を理解・浸透させるためのフレームワークを紹介したほか、参加者同士のディスカッションにより交流を深めた。
第3部では同じく産業編集センターの相山氏が登壇。企業の実例をもとに、組織文化が醸成されるメカニズムや計画を立てるヒントについて共有した。
効果的なコミュニケーションのために必要なのは、スモールスタートで確実に実行すること、社内報やイベントなど様々なツールで定期的に刺激を与えることだという。
そこで相山氏は、インターナルコミュニケーションの年間計画を記した「コミュニケーションカレンダー」の作成が有効だとアドバイスした。「いつ、誰に対して、どのようなツールを使ってコミュニケーションを行うのかを『見える化』することが重要。そうすることで効果測定もしやすくなり、ただ実施して終わりではなく早めに次の施策を打つことが可能となります」。
最後に、インターナルコミュニケーションの計画を立てるヒントとして、「徹底した現状分析」「ターゲットや目標を明確に設定」「経営層や他部署との連携体制の確立」「柔軟なメディア選び・連動プランの実施」「効果測定による成果の算出」の5つが重要であると述べた。「コミュニケーションの活性化はあくまで手段であり、目的ではない。目標を明確にした上で、そのために何を行うのか分解して考えたほうが良い」と締めくくった。
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