参加ユーザーは4,400名超、ダイレクトマーケティングのデルがアンバサダープログラムを始めた理由

1984年に当時、19歳だったマイケル・デルが立ち上げ、PCの世界にメーカー直販という新しいビジネスを創造したデル。ダイレクトビジネスという業態上、これまではコンバージョンを重視していたデルだが、日本市場においては3年前からマーケティング活動の方針を刷新、新たな活動を始めている。
成熟市場におけるデルの新しいマーケティングの取り組みをレポートする。

4,400名を超えるアンバサダーは、デル製品の愛用者ほか、デルについてもっと知りたい、その魅力を発信したい人たちで構成される。新製品を試してSNSで発信するほか、デル主催のアンバサダー座談会で情報交換する楽しみも。今年3月にはアンバサダープログラム1周年記念パーティーが開かれ、総勢100名が参加、多くのデル製品、そしてデルの文化に触れる体験をした。

コンバージョン重視からファネル全体の投資効率最適化へ方針転換

—デルはダイレクトマーケティングに強い企業というイメージがありますが、最近はアンバサダープログラムを始め、マーケティング施策のご幅が多岐に渡っていると聞きます。現在のご活動からお聞かせください。

デル マーケティング本部長 田尻 祥一氏
アクセンチュアにて約5年間経営コンサルティング業務に従事。2009年にデル入社。アジア太平洋地域営業企画マネージャー、デル日本法人経営企画室室長、エンタープライズ製品兼法人マーケティング本部長を歴任。2014年、現職であるコンシューマー&ビジネスマーケティング統括本部 本部長に就任。強みであるダイレクトマーケティングに加え、ブランド力の強化とオムニチャネルを推進し、個人向けPC市場シェアを拡大中。

田尻:我々は一時期、デジタル広告の世界で“刈り取り系”と言われる、コンバージョンに直結する活動を重視し、そこに巨額の投資をしていました。しかし、各種統計手法を用いて、投資効率を分析したところ過剰投資になっていました。

そこで3年ほど前からマーケティング活動のイノベーションに取り組んでいます。1つ目は、明確な基準を設けて投資対効果の低いものへの投資を削減。2つ目は、曖昧になりがちなブランディング活動に対して効果測定の仕組みを整えました。最後に、お客様像とその購買行動を明確にし、定量と定性の両方の視点を踏まえて投資配分比率を最適化するようにプランニング方法を変えました。

その結果、従来は社内的にも説明が難しかったテレビCMへの投資を再開しました。それと同時にマスの取組みだけでなく、購買の1つ手前となるミッドファネルといわれる活動としてデジタル動画広告や体験型イベントなども新たに始めました。

こうしたイノベーションを実現するために組織変革も行っています。前述のミッドファネルの取組み強化に伴い、新たに「キャンペーンマネージャー」という職種もつくりました。劉もそのキャンペーンマネージャーのひとりです。

ユーザーとの触れ合いを通じて、人の気持ちが動く瞬間を観察する

—刈り取り部分だけでなくファネル全体を統合的にマネジメントし、投資の最適化を目指す中で、様々な施策を実施しているそうですが、そのひとつである、アンバサダープログラムがすでに成果を出しているそうですね。

デル キャンペーンマネージャー (工学博士) 
劉 カン氏

東京工業大学総合理工学研究科博士課程修了後、ローランド・ベルガーにて約4年間戦略コンサルティング業務に従事。2017年デルに入社。コンシューマー&ビジネスマーケティング統括本部にてキャンペーンマネージャーを務める。ソーシャルメディア、アライアンスマーケティング、デルアンバサダープログラム等を担当し、デジタルとリアルの両面からブランド力の向上を推進中。

劉:アンバサダープログラムは、デル製品をご愛用頂いている方、或いはデルについてもっと知りたい、その魅力を発信したい方々で構成されていて現在、約4,400名の方が参加をしてくださっています。体験の結果をSNS上で発信いただくので、企業の押し付けではなく、お客さま視点での情報発信の場になっています。

田尻:実はアンバサダープログラムは、全世界にあるデルのなかでも唯一、日本だけが実施しています。

デルは、ローカルの自主性がある程度認められており、独自の企画も実現しやすい土壌があります。本社には日本のお客さまのカスタマージャーニーを踏まえると、体験したお客さまの生の声が購買意思決定に大きく関与するので、オンラインでの存在感を高めることが重要と説明しています。テレビCMによる認知獲得も大事ですが、オンライン上でもお客さまがデルと出会う機会を増やしていければと考えています。

劉:またアンバサダーをデルユーザーの方だけに限定しないことで、デル製品についてのお客さまの率直な感想を伺うことができ、インサイトを理解する場としても機能しています。

私は前職ではコンサルティング会社に勤めていたのですが、その時に感じていたのは論理的に矛盾がない、非の打ちどころのない戦略が必ずしも人の心を動かすわけではないということ。実は私がデルへの転職を決めた理由のひとつが、デルであれば人の心を動かす戦略の企画・実行に携われるからということがあったのですが、まさにアンバサダープログラムに関わり、人の気持ちが動く瞬間を観察できる体験は、マーケティング施策に生きているという実感がありますね。

グローバル企業デルならではのマーケティング職の魅力


—社内において、マーケティング部門はどのような役割を担っていますか。

田尻:マーケティング部門は、社内外に対してビジョンを提示していくことに非常に大きな役割があると考えています。マーケティングがビジョンをつくり、社内における戦略立案の議論をリードしていくべきだと考えています。

—ビジョンとは具体的にどのようなものでしょうか。

田尻:お客様にどのような付加価値あるブランドとして認めてもらいたいかだと考えています。事業の成長はその結果です。例えば、私たちはいま「デルは先進的なブランド」というイメージ醸成を目標にしています。デルと聞いて想起することとして「価格の安さ」を上げる方が多いのではないでしょうか。

しかし、我々の強みやDNAは、実はそこにはないのです。革新的なPCのダイレクト販売を導入したように、或いは、狭額縁のディスプレイを搭載したNew XPS13という世界最小の13インチノートPC*を市場に投入したり、新しい付加価値をお客様にいち早くご提供してきました。

そうした事実をもとに我々が浸透させていきたいイメージとは「デルは先進的」です。意外かも知れませんが、ソーシャルリスニングを通してグローバルレベルで見てみるとそうした声が非常に多くみられます。日本でも同様にこのイメージを醸成していきたいと考えています。

*:出典:Principled Technologies Report, November 2017​

—マーケターとしてデルで働く魅力とは?

田尻:デルではデジタルマーケティングに対する投資額が大きいので、グローバルのテクノロジーカンパニーとの提携が可能で、新しいテクノロジー、手法開発に携われる機会が多いことが挙げられます。先端的なアドテクに触れ議論できる環境は自分自身を成長させるスピードを速めることができるのではないでしょうか。

また​、我々のマーケティング活動は多岐に渡っているので、様々な個別ロールにチャレンジが可能ですし、一気通貫のマーケティングを学ぶことも可能です。つまり、4マス、ソーシャル、デジタルなどを有機的に統合させた効果的なマーケティングを探求する経験を積めます。マーケターにとって大きな魅力の1つだと思います。

—現在、マーケティング職でご活躍している人のキャリアに共通点はありますか。

田尻:ここ最近ご入社された方はデジタルマーケティングのエキスパートや、劉さんの様に戦略コンサルティング出身者などですね。どうしてもゼロから考えていかなければいけないことも多く、我々としては、比較的今は戦略立案みたいなスキルや資質を持った方を積極的に採用しています。

—求める資質、スキルについて教えてください。

田尻:1つ目は、楽観的にあるいは前向きに物事に取り組めるかどうか。2つ目は論理的に、数字や事実に基づきながらやれるかどうか。3つ目は英語力含むダイバーシティな環境への適応力です。いろいろな価値観とか考え方に対して柔軟にやれるか。この3点が、我々が求めているマーケター像です。あ、あと笑いも大事です(笑)

デルでは新しいフレームワークをつくるような仕事もありますが、人を観察し、その心を探求するような仕事もあります。そういうものがミックスされたマーケティングの新しい姿を一緒に探求していきたいですね。

「デルという会社は部門が違っても皆オープンでフラットに議論するカルチャーがあります。また私の部門は米国本社へ直接レポートとなっておりその分機動的なところが魅力のひとつ」と田尻氏。


お問い合わせ先
デル株式会社
採用に関するお問い合わせ
Hitomi_Tosaka@Dell.com

その他のお問い合わせ
JPCorporateCommunications@Dell.com

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