日本語と英語、文化の違いはコンテクスト依存性
松浦:他に日本語と英語の違いを感じることはありますか?
音部:英語と日本語の違いはコンテクストに対する依存度の差で説明できると思っています。日本語は非常にハイ・コンテクストな言語なので、ロジカルな説明よりも空気を読む能力が重視されています。「忖度」が生まれるのにはそういう言語的、文化的な背景があるわけです。一方で英語は、あらかじめコンテクストを共有していない、他民族、他文化とのコミュニケーションが基本です。そのため、結果的にロジカルに説明せざるを得ない。外資企業が論理的というよりも、ローコンテクストが論理に依存するのでしょう。
松浦:上司や部下、同僚に外国人がいると、ちょっとした指示が伝わらなくて驚くことがあります。逆に言うと、日本語でのコミュニケーションでいかにコンテクストに頼ってきたかということですよね。
そのように英語を使って働くうえで、音部さんが意識していることはありますか?
音部:ミーティングでは、「何か質問はありますか?」と聞かれたときすぐに答えられるよう、イイ感じの質問を1つ2つは用意しておきます。質問を探しながらミーティングに参加することで、会話に集中できますし、いい質問ができれば自分の存在感も示すこともできます。英語環境では、自分の意見を言うことは全然恥ずかしいことではない、というよりも、ミーティングに参加するための必要条件ですらあるかもしれません。
松浦:確かに欧米人、特にアメリカ人は「自分独自の視点(Point Of View)」を非常に重視する印象があります。
音部:ただし、質問するとき変にカッコいい単語や言い回しを使う必要は全くありません。「日本語だったらこう質問するのに…」という表現が出てこないことは、私でもよくあります。その時いくら悩んでも、覚えてないものは出てこないんで。それよりは、知っている単語でいかに誤解なく伝えるかということを考える。それで充分です。
松浦:だからこそ、そもそもまず「覚える」というのはすごく重要ですよね。単語だけじゃなく、いろんなシチュエーションで使えるおいしい表現を持っておくと、対応できる幅が大きく広がる気がします。
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