働くひとの主体性を重視する人材育成がカギ
「一風堂では最近『イチトレ』という新しい取り組みを始めました」と口火を切ったのはとんこつラーメン「一風堂」を運営する力の源HDで、採用グループリーダーを務める関口照輝氏。
同社では、動画コンテンツなどを用いて指導方法を統一するという施策を予定している。評価基準を統一し、働きやすい環境を整備。評価はアルバイトなどの時給に反映し、士気向上を図りつつ、人材不足の店舗に優秀な人材を置くなど効率的な育成計画にも活用するという。
スープストックトーキョー(SST)は、ことし4月、「働き方“開拓”」として、新たに2つの制度を追加。ひとつめは「生活価値拡充休暇」で、社員の休日休暇を年間120日にしたこと。もうひとつは、「ピボットワーク制度」で社外複業・グループ内複業を解禁したことだ。
「社員向けの制度である『生活価値拡充休暇』は、仕事と休みにメリハリをつけることで、自ら生活価値のさらなる拡充をしてもらうことが目的です」と紹介したのは、人材開発部部長を兼任する江澤身和氏だ。給与は維持したまま、1年間の休暇を18日増やすことを実現した。
「『ピボットワーク制度』は、本業であるSSTの仕事をさらに磨くために作ったもの。ルールはSSTの仕事に支障をきたさないことです」(江澤氏)
SSTが重視するのは「『世の中の体温を上げる』こと」(江澤氏)。これは2016年の分社時に掲げた企業理念だ。
「こうした策を練る中で大切にしているのは、常に従業員と顧客の二軸を考えることです。今後は働いている人すべてに等しく制度を体験してもらえるよう、試行錯誤を重ねていきます」(江澤氏)
第二部では、ピーシーフェーズの中村昌広氏が、デジタルで人材活用を推進する仕組みについて講演した。
「多くの企業さまにクラウド人材育成サービスshouinを紹介して感じたのは、『働き方改革』が叫ばれるなか、『成果の出し方』の改善が不可欠ということ」と、中村氏は指摘する。ここ18年間で、企業の「成果の出し方」は「プロダクトアウト」型から「コンセプトアウト型」に移行してきているという。
「『プロダクトアウト型』は、本社が施策を考え、現場は実行するだけの体制。それが現場の情報収集を重視する形に移行してきました。そしていま求められているのは『コンセプトアウト型』。
お客さまを一番理解している現場が主体的に動いていく仕組みにしながら、本社や人事は専門知識やテクノロジーを活用して新たな施策の取り組みや戦略的なアドバイスや支援を行う体制です」(中村氏)
こうした現場主体の時代で、本社はどのように現場を支援すればいいのだろうか。それには、レジの自動化など、技術への投資による業務の効率化と、人材育成の2つの方法があるという。
「特に後者の人材育成に関して、全国展開する企業への提案を続けるさなかで知った課題は、『優秀な人材の育成』『教育訓練(OJT)の効率化』『情報の共有』でした」(中村氏)
これらの解決策として中村氏は「スキマ時間の有効活用」と「時間と場所からの解放」、そしてそれらを実現する「動画の活用」を挙げる。
「動画を活用すれば、テキストなどよりもわかりやすく伝えたいことを説明できます。また、いつでもどこでも見られるようにすれば、店舗に入る前の5分、10分のスキマ時間で内容を確認できます。仕事に入る前に、教える側と教わる側の視点を同じにすることで、教える側の負担を減らすこともでき、教わる側はより早く現場の戦力となります」(中村氏)
今後重視すべきなのは「コンセプトアウト型」のイメージを持ち、現場からのアウトプットを大切にすること。
「本社サイドが、店舗は働く人と共に作り上げるものだという認識を持つことで、店舗で働く人たちのモチベーションは上がります。ひいては、人材の定着にもつながるはずです」(中村氏)
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