2017年度の同賞および新人賞を、3人の大阪芸術大学卒業生が受賞した。
3人の卒業生がTCC 賞、新人賞を受賞
2017度TCC賞は応募総数5662点の中からグランプリ1作品、TCC賞14作品、審査委員長賞3作品を選出。またコピーライターの登竜門と言われる新人賞には409名の応募があり、その中から最高新人賞1名、新人賞21名が選出された。昨年、その狭き門を通り抜け、3人の大阪芸術大学卒業生が入賞した。TCC賞を受賞した電通関西支社の小堀友樹さん(美術学科)、新人賞を受賞した博報堂関西支社川村健士さん(デザイン学科)、そしてCS西広の岡本和久さん(放送学科)である。
♪武将と言えば三成~の歌で注目を集めた滋賀県のPR動画を制作した小堀さん。
大阪芸大時代、学内で電通関西のクリエーティブ塾の募集告知を見つけたことが、広告の道に進むきっかけとなった。「大阪芸大の先輩中島らもさんも電通関西にゆかりがあったことを思い出し、参加しました」。大阪芸大では、斬新な発想や柔軟なアイデアを重視する美術学科彫刻コース総合素材で学んだ。
「なんでも好きなことをしていいというコースだったので、自由に考えてつくることができました。その頃から今にいたるまで変なものがいきなり出てくるという企画はよく思いつきますが、だいたいボツになります」。
石田三成のCMでも、映像の端々に出てくる注釈にその自由な発想が生きている。
「早慶近」のコピーとマグロのビジュアルが強いインパクトを残した近畿大学の2017年正月広告。
手がけた川村健士さんは「1年にわたる近大のニュースで注目を集めそうなことをさらにフルスイングする企画を考えました。見た人がハッとするスピード感を大事にしていますが、近大そのものの快進撃と決意が生み出した広告です」と話す。
大阪芸大時代は、「質より量」でひたすら作品を制作。昼は授業がなくても居心地のいい学内にいることが多く、教授や友だちといろんなことを話したという。
「他愛ない話題でしたが、そこから作品や課題のヒントをもらいました。話しているうちに思いつく、乗っかる、という今の仕事のスタイルはこのとき生まれた気がします」。
佐賀県、宮崎県、山口県の知事が妊婦体験をしたPR動画「知事が妊婦に。」は世界188カ国にまで拡散した。「バズ動画が世にあふれる中で、僕らが目指したのは、ギャグ、サプライズ、泣かせる演出は一切ない、“とことんマジメ系動画”。チームで決めた方針を貫いた結果、よい方向へと進んだと思います」と、岡本さん。チームでのモノづくりの経験は大阪芸大時代に培われた。
放送学科の授業では、岡本さんの脚本でラジオドラマを制作。
「ナレーターをオーディションしたり、あーでもない、こーでもないと言いながらみんなで編集したり…。そこで初めてモノづくりの楽しさを知ることができました。その経験は、今の仕事にも生かされていると思います」。
いずれも学生時代にコピーライティングを学んだわけではなく、学科も異なるが、3人は現在、コピーライター、CMプランナーとして活躍している。三者三様のクリエイティブに注目が集まっているが、その考え方の根底には、大阪芸大時代に培ったモノづくりの経験がある。
小堀友樹さん
川村健士さん
岡本和久さん
編集協力/大阪芸術大学