ショートコントやオムニバスドラマなどが人気のこの番組、脚本の立案から、出演・制作・広報PRまで、番組づくりのすべてに携わっているのは、大阪芸術大学放送学科の学生たちだ。
学生たちがすべてをつくるラジオ番組
「学ラジ」は、2012年にFM OSAKAとの「産学連携番組企画」としてスタート。この4月で、7年目を迎えた。「ラジオ局としてラジオの今後を見据える中で、学生と一緒に番組をつくることができないだろうかと考えたことが発端です」と、同局プロデューサー 中西貴晃さんは話す。2年目からは放送学科の授業として採用され、以降は3・4年生を対象に公募。同学科の制作、アナウンス、広告、声優の各コースから抽選で選ばれた学生たちが番組制作チーム「GoldenEggs(ゴールデンエッグス)」のメンバー※になっている。(※定員30人)
授業とはいえ、「学ラジ」がオンエアされるまでのプロセスは、プロの仕事と変わらない。Golden Eggs は2班に分かれ、各チームメンバーは毎回、企画案を提出する。そして番組のディレクター、構成作家なども交えて、オンエアする企画を決定。企画を整えた後、チームメンバー内で演者をキャスティングし、録音に臨む。ナレーターや配役として出演するメンバーがいる一方、ディレクターの指導のもと実際に録音機材を操作する学生もいる。
「大阪芸大の放送学科は放送局等に匹敵する機材やスタジオといった設備が整い、プロの現場と同等の環境で実習を重ね、スキルアップを目指すことができます。『学ラジ』はわずか5分間ですが、電波に乗る本物の番組。それゆえに放送でき得るクオリティが必須になります。オンエアに“次回までの宿題”は無く、失敗は許されない。学生たちはそういうプレッシャーを感じながらも、毎回の達成感が自信に繋がっていきます。正に表裏一体の『学ラジ』は、実習とはまた違う得難い授業です」と、「学ラジ」を担当・監修する放送学科 小林大作教授は話す。
通常の5分番組は仕上げるのに長くても1時間程度で済むが、「学ラジ」の場合、スタッフではなく学生たちの納得がいくまで、何度も繰り返し録り直す。そのため、そうそう簡単に録音は終わらず、ラジオ局としては、通常の番組をつくるよりも手間や時間がかかる。それでも「学ラジ」を続ける理由を、中西さんは次のように話す。
「既成概念にとらわれない発想、学生ならではの切り口や感性が番組に反映されるので、素直に番組として面白くて、僕らも学ぶところがある。それから実際に関わった学生たちはラジオの面白さを実感し、自主的にSNSで番組について発信してくれます」。
大阪芸大のオープンキャンパスでは、放送学科が「学ラジ」ブースを設け、模擬放送体験などで毎回人気を集めている。また、2015年には全国38のFM局が加盟するJFN(全国FM放送協議会)による「JFN 賞2015」の企画部門で奨励賞を受賞した。
「ラジオの面白さを伝え、リスナーを次世代へと広げていく存在として、『学ラジ』に期待しています。Golden Eggs の中からラジオ業界を変えていく人材が出てくるとうれしいですね」(中西さん)。4月からは、Golden Eggs7 期生による、新たな「学ラジ」が始まる。
編集協力/大阪芸術大学