日本のメイカーズ文化を京都から広げる、若きベンチャー企業

YOKOITO中島さんが思う、クリエイターは京都拠点で活動すると良い理由

3Dプリンタを普及させることで、プレイヤーを生み出し育てる。草の根活動をじっくり行うYOKOITOの中島さんが常日頃から肌で感じていることがあるといいます。それは、京都はメイカーズ文化を根付かせられ、クリエイターが自分の価値を最大化できる可能性に満ちたまちだということ。コラムのタイトル通り、クリエイターにとって京都は戦える場。中島さんがそう思った理由と、これからのクリエイターの価値について語っていただきました。

—YOKOITOの拠点の1つを京都に置いたのはなぜですか?

中島:東京はとにかくスピード感が早く、経済のトップ。しかし、その流れに巻き込まれたくないなと。

—YOKOITOは「長く続けていくこと」という思いもあるし、メイカーズ文化を広げるためにはじっくり時間をかける必要があるということですかね。大阪じゃなかった理由はありますか?

中島:確かに大阪は経済規模でいうと2番手かもしれません。しかし、東京の人たちはあまりそこに興味がないように思えます。東京や世界の視点からすると、京都は分かりやすく日本の文化を象徴しているように映っているはずです。

伝統工芸や伝統産業、またコンパクトなエリアに大学などの教育機関が密集しています。文化が根付きやすく、理解されやすいという点で活動するなら京都が良いと思いました。あとは京都ってサイズ感がとてもちょうどいい。仕事をしたり住んだりして分かったのですが、基本自転車でどこでも移動できて、タクシーを乗ったとしても2,000円あれば主要な所へ行けるというコンパクト感が良いです。

—なるほど。京都ならではの文化的な文脈もそうですが、地理自体も仕事をする上でもちょうどいいんですね。

中島:あと、何でこんなに大学が多いんだろう?って思って気づいたことがあって。それは、京都という街には余裕があるんじゃないかということ。教育って贅沢なものだと思うのですが、そのことにお金を投資するような余裕がある土壌なのだなって。そういった意味でスタートアップする土壌としても適しているのを肌で感じました。学生を含め、僕たちみたいな若い人材が多くいるのは、案外若い人を応援してくれてやさしいまちであるという側面があるのでは?と思います。

—今は少し沈静化したのですが、確かに東京のITベンチャー企業の支社が大阪ではなく、京都に多く作られていました。根を張れる拠点を作りやすかったり、若い人たちにやさしいということでベンチャー企業が根付きやすいというのがあるんですかね。

中島:京都は任天堂など大企業や優良企業なども多いのですが、それは京都自体が面白いものに投資して、ベンチャー企業が育ちやすい文化があったからだと思います。京都の可能性でいうと、東京に比べて専門家が少なく、いやが応にも「クロス」しなければならないことです。東京は人口も市場もあるので、別の専門家と交流する必要がありません。違うジャンルの専門家、クリエイターと一緒に新しいものを生み出せる可能性は大いにあるはずです。

次ページ 「クロスするというのは関西特有のものだと思います」へ続く

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田中裕一(かたちラボ・コピーライター)
田中裕一(かたちラボ・コピーライター)

広告制作プロダクション勤務を経て、2012年に大阪・兵庫など関西を中心に展開するクリエイティブカンパニー「かたちラボ」を設立。関西のクリエイターと協働して、企業ブランディングやCI構築、事業計画立案、紙ものやWEBサイトなどの制作を行う。

田中裕一(かたちラボ・コピーライター)

広告制作プロダクション勤務を経て、2012年に大阪・兵庫など関西を中心に展開するクリエイティブカンパニー「かたちラボ」を設立。関西のクリエイターと協働して、企業ブランディングやCI構築、事業計画立案、紙ものやWEBサイトなどの制作を行う。

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