公益社団法人日本青年会議所(以下、JC)と日本郵便は、7月21日、日本大通り(横浜)にて自動運転車による荷物輸送の公道実証実験を開催した。日本青年会議所は、20代~30代の若手経営者が会員の中心で、全国697の会議所(LOM)が登録し、約36,000人の正会員を擁する団体。日頃、各地域でのボランティア活動や社会課題への取り組みを行っている。今回の実証実験は、一般市民も参加するJCの一大イベントであるサマーコンファレンス2018の中で行われた。
実験に先立つ挨拶で、JCの池田祥護会頭は、「今回の実証実験を契機にして、運送業に関わるドライバー不足の解決の一助、働き方改革に役立てたい。日本の未来の発展に寄与したい」と語った。
また、日本郵便の諫山親・執行役員副社長は、「宅配便の分野はこれから大きく取扱数が伸びていく見込みだが、その一方で人手不足という大きな課題がある。そこで、自動運転といった新たな技術が必要となっている。実用化は決して夢物語ではなく、実現可能でちょっと手を伸ばせば届くようなところまで来ている。技術的な課題、制度面の課題があるが、関係する会社の努力、政府の取り組みによって必ずや解決されると考えている。」と語った。
実験は、日本大通りにて、実際の公道を使用し、お中元を祖父母から孫へと届ける、という設定で行われた。ドライバーは祖父母からお中元を受け取ると、自動車に積載。運転席に乗った後は、一度もハンドルを握ることなく、所定の目的地まで運んだ。最後に、荷物を取り出し、孫に手渡しした。
今回の自動運転は、レベル3に相当。ドライバーは必要だが、予備対応時(危険回避等)以外は、何もしなくて良い。レベル4以上(最高はレベル5)になると、ドライバーが不要となる。レベル4以上で運用できれば、宅配の自動車が無人化され、所定の場所に到着すると受取人が自分で取りに行く、といったことが可能になる。いわば、自動移動するロッカーのようなイメージだ。
日本郵便では、すでに2018年3月12日~16日の間、本社(千代田区霞が関)→西新橋郵便局→銀座郵便局までの約1.7kmの公道で自動運転をレベル3で実証実験をし、成功を収めている。人が多い都心で実験を成功させているということなので、実現までのハードルは存在するとしても、クリアできないものではないと思われる。
JCや日本郵便のように全国ネットワークを持つ組織には、自動運転の有効性を知らしめるとともに、すでに全国各地で起きている人手不足を解消するような、新サービスを打ち出すことが期待される。