スピードが熱を生む
澤本:そうです。あり素材でつくるには人間がしゃべっているとリップでわかっちゃうから、犬がワンワン吠えているところを撮っておけば、後で声をつければ犬はリップわからないからいいやと思って。でもそれって納期を短くするためなんですよ。
箕輪:すげー、天才!
澤本:とりあえずみんな犬好きだしと。
箕輪:理不尽なスケジュールに対する唯一の解みたいな感じですよね。
澤本:そうですね。本当にどうやったら詰められるか、つまり僕が企画する期間を短縮すれば詰まるし、編集でみんなが徹夜すれば詰まるんだけど、とはいえ限界ってあるじゃないですか。その限界をなくすのに、最低限までするのは撮影をなくすこと、ということは素材を持っているということ。
箕輪:確かに。週刊文春の編集長の新谷さんもよく言いますね。週刊で出しているから「体操の鉄棒の着地じゃないけど、強引に着地して終わる。スピードが熱を生む」と彼はよく言うんだけど、やっぱりありますよね。
澤本:まとめようとしたときに働く変な力があって、それがきちんとロジックでまとまってるかどうかは別なんですよね。そこが気になると先に進めなくなるけど、まとめないと死ぬとなると、とりあえずまとまってますと主張して。
権八:強引に着地していくということですね。
澤本:強引に着地して、さほどきれいな着地じゃないときのほうがみんなが喜んだりするという。
箕輪:見たことない着地の形だったりするほうが、ということですか?
澤本:着地点かわからないけど、着地と言ってるから着地なのかなというほうが、見事にきれいにしたよりもいい結果になっているような気がしますけどね。
中村:確かに僕もそれは何なのかとか、もっと偶発的じゃなくする方法ないかなと思ったりしますけどね。
澤本:そうだ箕輪さん。今、映画の脚本を書いていて、それどこかで相談していいですか?
箕輪:ぜひぜひ!
澤本:それが当たるかどうかも含めて。
箕輪:もう来週出しましょう、ニューズピックスブックで。
一同:(笑)
澤本:早すぎる(笑)。
権八:原作本出しちゃいましょう。すごくいい。
中村:これかぁ(笑)。
箕輪:ちょうど困ってたんですよ、よかった澤本さんに会えて!
中村:というわけでお別れの時間がきてしまいました。箕輪さん、今後の出版予定などを教えてください。
箕輪:ここに持ってきたのが、6月6日発売の次のニューズピックスです。
中村:『読書という荒野』。著者は見城さん。ここにもありますね、血で血を洗う読書という荒野を。
箕輪:本当にやばい、濃密な読書論ですね。
権八:帯が秋元さん、やすすが。著者の内臓を喰らい、口から真っ赤な血を滴らせる、と(笑)。
箕輪:これは女子1人も買わないんじゃないかと(笑)。
権八:表紙の写真もすごい。
澤本:秋元さんは文章うまいね。
箕輪:うまいですよね。それは見城さんがニューズピックスで読書論をやったときに、それに対するコメントでSNSでつぶやいてたんですけど、このコメントを見た瞬間、本として成立するなと。この推薦文がある読書論って、その時点で完成してますもんね。それで著者の顔が怖くないとはまらないんだけど、それにちゃんと応じるこの顔(笑)。
中村:ありがとうございました。
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構成・文:廣田喜昭