デジタルマーケティングを再定義する
そしてマスやリアルなど従来、「経験と勘」でやってきたいわゆる「アナログ施策」こそが私が考える、デジタル化の本丸と言えます。
つまり、私はデジタルテクノロジーやデジタルデータを駆使して、
リアルタイムに ②高サイクルに ③データドリブン に運用して施策を最適に
する試みを「デジタルマーケティング」と再定義すべきと考えています。
広告業界でいえば例えば、
・マス広告のテレビの到達量をインプレッション数にして把握し直す
・デジタル送稿の機能を駆使してリアルタイム差し替えを行う
・オンライン進行システムで雑誌の原稿制作作業を劇的に短期間、かつ高サイクルにする
・消費者インサイトを仮説検証型だけでなく、消費者行動データから文脈発見型で洞察する
・スマホのロケーションデータでターゲットセグメントを図り、チラシやDMを最適化する
こういうことが「デジタル化の本質」であり、こうした「デジタル発想」でビジネスを効果的かつ効率的に、また従来にない価値創造が可能な施策及びそのプロセスを生み出すことこそ「デジタル化」と言えます。
近年のデジタル化は例えると、ハイレゾ音源に似ています。CDの音源に比べてデータ量が数十倍になったことで、データの粒は極小単位になり、周波数の波は、従来の階段状に見える波からほとんど曲線に見えるものになりました。これはアナログの良さをデジタルでつくったと言えるでしょう。
この極小単位のデータの粒は、マーケティングで言えば一人ひとりの消費者であり、広告で言えば1インプレッションずつの広告接触と言えます。これを一つひとつ最適化することで全体はきれいな全体最適を果たせる(素晴らしい曲線が描ける)のです。
もう一度、テレビとデジタルの統合ということに話を戻します。
テレビが若年層では到達効率が悪くなっていることは周知の通りです。
テレビとデジタルのアロケーションモデル構築の起点は多くが、ここにあります。
ただ、テレビ×デジタルの統合の意味はそれだけではありません。
下記の図のように3つの考え方があります。
ひとつ目の「リーチの最大化」は分かりやすいと思います。特に若年層へのテレビCMでのリーチがしづらくなっているところを、デジタル広告でそのターゲットリーチを補完しようというものです。
2つ目の「認知効果の最大化」は、テレビだけだと人口が多く、視聴時間が長い高齢層が厚く、人口が少なく視聴時間が短い若年層には薄くしか当たらないがために、CMのフリークエンシー分布は0回、1回という過少フリークエンシーと、無駄に20回以上当たっているというフリークエンシー過多の2極化する。これをデジタルで補正するという考え方です。
しかもターゲットに配信できるので、ターゲットにはできるだけ有効かつ適正なフリークエンシーでの接触を増やすことで、理論的に認知効率を上げる最適化となります。
最後の「態度変容効果の最大化」は、テレビとデジタルの両方に当たった視聴者/ユーザーの態度変容地(購入意向)が上がるという実証結果から、購買を促すためにターゲットがよりテレビとデジタルの双方に接触するように配信設計するという考え方です。
この際、テレビCM出稿が始まる数週間前からデジタル出稿を始め、初速の早いテレビが始まると一気にテレビ×デジタルのオーバーラップ層が増えるというタイミングの最適化を図ることが多いです。