“デジタル主導”のコミュニケーション開発、そのアプローチ

テレビ×デジタルで態度変容効果を最大化する

今回の本稿の主題は、先の図の3つ目「態度変容効果の最大化」、テレビとデジタルの両方を接触させることで、購買意欲を醸成、促進させるコミュニケーション開発についてです。

従来、デジタル広告は動画広告であっても、ほとんどがテレビCMの副産物ないしそのものの流用でした。しかし、同じ素材を使った結果でも態度変容値が上がっている実例から、ここにはもっと伸び代があるのではないかと私は思っています。

そもそもデジタルはユーザーの文脈でコミュニケーションが成立しています。一方、テレビはブランドの文脈です。

だからこそ、デジタルではユーザーが「自分事化」するコミュニケーションをとる必要があります。つまりはユーザー文脈のメッセージです。それには琴線に触れる文脈の、違ういくつかのセグメントごとの固有のメッセージ開発が行われる必要があります。

それは、いわゆる「買う理由」をコミュニケーションすることになります。それをデジタルターゲティング技術でセグメントごとにメッセージを配信し、分けることになります。

一方、テレビはやはり「社会事化」であることを訴求します。「テレビでやっているから…」、「みんなも知っているブランドだろうから…」という安心感が消費者の背中を押す格好になります。

その意味では、テレビは刈り取りメディアです。

従来、認知に強いメディアであるはずのテレビも、あまりに情報量が多い現代では「これは自分向けの情報だ」と確信しない限りは、耳に半分栓をしている状態と言えます。だから自分事化するメッセージでないと、そもそも認知がスタートしません。テレビは圧倒的な到達力を武器に、平板なメッセージでも一定の消費者の認知を獲得してきましたし、今もその力を維持しつつも、メッセージによってはターゲットの認知の役割を果たしていないものも多くあります。

つまり今や、「認知」→「関心」というファネルの入り口部分はほとんどの商品カテゴリーで崩壊しており、「関心」をもってくれるターゲットに「認知」させる必要があるのです。

次ページ 「デジタルで素地をつくってテレビで刈り取る」へ続く

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横山 隆治(デジタルインテリジェンス 代表取締役)
横山 隆治(デジタルインテリジェンス 代表取締役)

1982年 青山学院大学文学部英米文学科卒。同年株式会社旭通信社入社。
1996年 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社を起案設立。
代表取締役副社長に就任。2001年同社上場。
2008年 株式会社ADKインタラクティブ設立。同社代表取締役社長に就任。
2011年 株式会社デジタルインテリジェンス代表取締役に就任。

ネット広告黎明期からビジネスの実践とデジタルマーケティングの理論化・体系化に取り組む。

宣伝会議より『CMを科学する』(2016年4月15日発売)を刊行。

ほか著書に
『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)
『新世代デジタルマーケティング ネットと全チャネルをつなぐ統合型データ活用のすすめ』(インプレス)などがある。

横山 隆治(デジタルインテリジェンス 代表取締役)

1982年 青山学院大学文学部英米文学科卒。同年株式会社旭通信社入社。
1996年 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社を起案設立。
代表取締役副社長に就任。2001年同社上場。
2008年 株式会社ADKインタラクティブ設立。同社代表取締役社長に就任。
2011年 株式会社デジタルインテリジェンス代表取締役に就任。

ネット広告黎明期からビジネスの実践とデジタルマーケティングの理論化・体系化に取り組む。

宣伝会議より『CMを科学する』(2016年4月15日発売)を刊行。

ほか著書に
『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)
『新世代デジタルマーケティング ネットと全チャネルをつなぐ統合型データ活用のすすめ』(インプレス)などがある。

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