テレビ×デジタルで態度変容効果を最大化する
今回の本稿の主題は、先の図の3つ目「態度変容効果の最大化」、テレビとデジタルの両方を接触させることで、購買意欲を醸成、促進させるコミュニケーション開発についてです。
従来、デジタル広告は動画広告であっても、ほとんどがテレビCMの副産物ないしそのものの流用でした。しかし、同じ素材を使った結果でも態度変容値が上がっている実例から、ここにはもっと伸び代があるのではないかと私は思っています。
そもそもデジタルはユーザーの文脈でコミュニケーションが成立しています。一方、テレビはブランドの文脈です。
だからこそ、デジタルではユーザーが「自分事化」するコミュニケーションをとる必要があります。つまりはユーザー文脈のメッセージです。それには琴線に触れる文脈の、違ういくつかのセグメントごとの固有のメッセージ開発が行われる必要があります。
それは、いわゆる「買う理由」をコミュニケーションすることになります。それをデジタルターゲティング技術でセグメントごとにメッセージを配信し、分けることになります。
一方、テレビはやはり「社会事化」であることを訴求します。「テレビでやっているから…」、「みんなも知っているブランドだろうから…」という安心感が消費者の背中を押す格好になります。
その意味では、テレビは刈り取りメディアです。
従来、認知に強いメディアであるはずのテレビも、あまりに情報量が多い現代では「これは自分向けの情報だ」と確信しない限りは、耳に半分栓をしている状態と言えます。だから自分事化するメッセージでないと、そもそも認知がスタートしません。テレビは圧倒的な到達力を武器に、平板なメッセージでも一定の消費者の認知を獲得してきましたし、今もその力を維持しつつも、メッセージによってはターゲットの認知の役割を果たしていないものも多くあります。
つまり今や、「認知」→「関心」というファネルの入り口部分はほとんどの商品カテゴリーで崩壊しており、「関心」をもってくれるターゲットに「認知」させる必要があるのです。