「神」か「英雄」か?物語における顧客の描き方から考えるブランド戦略

日本の物語ブランドにとっての主人公はサラリーマン

物語ジャンルは社会経済的な背景によって変化していくことを考えると、日本で代表的な車メーカー、家電メーカーなどの生活耐久消費財のブランドにとっての顧客である主人公は、いわゆるサラリーマン家庭であり、言わば「サザエさん」のようなひとたちだったと言えます。いまだに日本人にとってサザエさんが物語として消費されているにしても、サラリーマンを主人公とした物語ブランドは書き換えられていくでしょう。日本発で新しいブランドであるメルカリやZOZOにとっての物語の主人公は、そのようなサラリーマンではない、女子高生から主婦まで、これまで経済の主役でなかった人たちであるように思えます。

あわせてアメリカ大統領であるドナルド・トランプも、これまでアメリカ国家をリードしてきた過去の大統領とは違う人々を「主人公」と捉えているように見えます。それは明らかに今までと違った意味で「敵」を作り出し、違う物語を作り出そうとしています。その結末がどうなるかはまだわかりませんが、「イカロス」になるのか、「オイディプス」になるのか、はたまた「穴の中の男」になるのかはそれこそ神のみぞ知る、のでしょう。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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