進化するダイレクトマーケティング いま必要なソリューションを強化
電通グループは8月1日付で、ダイレクトマーケティングの専門会社「電通ダイレクトマーケティング」と、CRM(顧客関係マネジメント)を強みとしてきた旧・電通ワンダーマン(その後の電通ダイレクトソリューションズ)を合併した。
同グループはことし1月からダイレクト関連部署を再編し、電通ダイレクトマーケティングへの集約を進めてきたが、同社と、1985年以来、日本でのダイレクトマーケティングの草分け役を果たしてきた旧・電通ワンダーマンの経営統合は、同分野への“本気度”の高さを感じられるものと言えそうだ。
両社の強みはそれぞれ、電通ダイレクトマーケティングがいわゆるダイレクトレスポンス広告による新規顧客獲得、後者がCRMによる顧客の維持と、相互補完的でもある。
「名実ともにダイレクトマーケティング業界における課題解決力ナンバーワンエージェンシーを目指します」と気勢を高めるのは、新生電通ダイレクトマーケティングの米村俊明・取締役だ。
「いま、企業の課題解決のために特に必要とされているのは、デジタルとCRMです。何をいまさら、と言われる向きもおられるかもしれませんが、共にデータ活用、テクノロジーの理解とクリエイティビティが求められる領域。これらの専門力をさらに強化します」(米村取締役)
新生電通ダイレクトマーケティングの始動とともに立ち上げたのが、「デジタルクリエーティブ部」と「CRMコンサルティング部」だ。
デジタルクリエーティブ部でディレクターを務める神岡豪氏は、ダイレクトマーケティングにおけるクリエイティブのあり方について、こう語る。
「実店舗でもネットでも商品を買う自由度が高まる一方、成熟したマーケットでは商品そのものの差異は相対的に小さくなってきています。消費者の購入意思決定を左右する要因も、これまでと同じというわけにはいきません。つまり、商品やサービスに関する情報を消費者がどのように受けとるかが重要です。いわゆるブランド広告だけでなく、ダイレクトコミュニケーション自体もブランドを左右するのです」(神岡氏)
従来のダイレクトマーケティングの広告表現の多くは、ダイレクトセリング、つまり短期的なレスポンスの最大化を追求してきた。
「今後の消費者は、個人情報を企業に提供する代わりに、企業に対しては適切なタイミングで、自分にとっての有益な情報提供を求めるでしょう。むしろ、そうした関係を築けなければ、ダイレクトビジネスでの顧客生涯価値は高まっていきません。
企業と消費者の心地よい関係を、データ・テクノロジーと共にクリエイティブで構築していく。それが私たちのミッションです」(同)
デジタルクリエーティブ部員は、アドテクノロジー、Webアーキテクト、ECソリューション、インタラクティブ動画、コンテンツやアプリのクリエイターなど多様なキャリアのメンバーが在籍する。
「こうしたメンバー同士の知見を掛け合わせて、“イノベーティブなソリューション”を生み出すことにもチャレンジします」(同)
変化する消費者にあわせた心地よいコミュニケーションを目指して
「事業主にとって『投資』である新規獲得に対して、『回収』であるCRMに関するご相談は年々増えています。リピート通販、金融、会員制ビジネスなど、さまざまな業種のCRM コンサルティングを行う中で、近年の顧客購買行動の変化を強く感じています」と話すのは、もうひとつの新設部署「CRMコンサルティング部」の末次一子氏だ。
「スマートフォンからの流入が増えてF2転換率(リピート購入率)が悪化した」「メール開封率が10%程度にとどまっている」など、顧客育成にまつわる課題を抱える企業は少なくない。
また、マーケティング・オートメーションツールを導入する企業も増えたが、シナリオ設計、日々の運用をどうすればよいか、が新たな悩みのタネとなってもいる。
「半面、消費者も情報過多に陥っています。消費者視点から最適化し、オンライン、オフラインを問わず、柔軟な独自性のあるコミュニケーション設計が重要です」(末次氏)
ダイレクトマーケティング領域での専門性の需要は高まるばかり。新たなスタートを切った電通ダイレクトマーケティングに期待がかかる。
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株式会社電通ダイレクトマーケティング
https://www.ddm-dentsu.co.jp/