―Instagramをはじめとするモバイルメディアを活用した広告が増えていますが、どんな印象を持っていますか。
Instagramが登場してから、プロモーションの作り方は明らかに変わりました。例えばイベントではInstagramにアップされることを計算して、フォトジェニックな空間やコンテンツ、ツールやプロダクトをつくるケースが増えています。正直なところ、僕らクリエイティブ側が、広告メディアとしてはまだ活用しきれていないと感じています。現状はキャンペーンでの活用というよりも、プロモーションの最終アウトプットを広げるためのツール、という印象です。
しかし、少しずつ広告の現場の意識も変化してきています。その顕著な例が動画。以前はテレビCMと同じ動画をモバイル広告でも活用するケースが多く見られましたが、最近は“別物”として認識されるようになりました。また、モバイルをテレビCMと組み合わせることで、より深くリーチできるという効果を感じている人は増えています。
アワードのキックオフミーティングで、審査員の一人、クラシコムの青木耕平さんが、動画が増えたとしても「モバイルは小さいテレビじゃない」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。みんな画面に目を近づけて、むしろテレビよりもすごく集中して見続けている。
小さいけれど、実は「大きなメディア」と言えます。テレビの“ながらエンゲージメント”とは違った形でターゲットと深く新しい関係性を築くことができる。柔軟性が高いモバイル広告が、広告そのものを変えていくのではないかという期待があります。
―本アワードへの期待をお聞かせください。
広告としてクオリティが高いことも大事ですが、「それが広告をどのように変えてていくのか」という可能性、そこでの“発見” をぜひ応募してもらいたい。このアワードが新たな“発見”を生み、その“発見”を使って次の人がさらによいものをつくる、そういう連鎖がここから生まれてくるといいですね。
シャワーのように情報が降り注ぐテレビCMがメインだった時代は、すべての人が同じような状況で広告を受けとっていたけれど、モバイル広告においては受け取る状況も違うので、それに接したときの感じ方も人それぞれで違ってくる。また、モバイル広告は距離が近い分、強く五感を刺激することも多い。
いまは、生活者全員が受発信装置を持っている時代。生活者がディレクターであり、カメラマンでもあると同時に、テレビCMを見て商品を購入する側でもある。広告の受け手と送り手の関係が変わり、新しい広告環境が生まれてきている現在、従来の広告とは異なるモバイル広告に新たなチャンスや可能性が見出せるのではないかと考えています。
― 最後に、アワードの応募者に向けてメッセージをお願いします。
今回は、「コネクト(繋がる)」「レゾネート(共振)」「アクティベート(活性化)」の3つがキーワードだと感じています。ワントゥワンで1 人にだけ刺さるのではなく、横に繋がって共振し、活性化していけば、モバイル広告がマス的な効果をもつことも可能です。そんなところを意識して、ぜひ多くの方にチャレンジしていただき、広告界に新しい動きを起こしていけたらと思います。
MOBILE CREATIVE AWARD
テーマ:Connect with People
人とブランド(企業/ 商品/ サービス)とのつながりを深める
応募締切:8月31日
詳細は、サイトにて確認のこと。
https://mca.sendenkaigi.com