ブランドを知り、ブランドに迷走する
はじめまして。江崎グリコでポッキーのマーケティングを担当している金澤結衣です。
このコラムは、『ブランドのコラボは何をもたらすか(宣伝会議刊)』の著者である4人がバトンをつなぐリレー式コラムです。書籍では紹介しきれなかった話をまじえながら、コラボレーション(以下、コラボ)から生まれる様々なメリットや、成功させるためのメソッドを、計4回の連載を通してお伝えしていきます。
コラボに興味を持っている方や、ブランドの迷宮に迷い込んでしまった方々の、道しるべの1つになれば嬉しいです。
早速ですが、「ロングセラーブランド」と聞いて、皆さん何を想像するでしょうか。売れているもの、どこにでもあるもの、有名なもの、ずっと昔からあるもの、みんなが知っているもの・・・。一般的には、市場の中で一定の売上を持ち、認知もあり、それが継続的に続いているブランドが、ロングセラーブランドとされています。
ロングセラーブランドとはいえ、何もしなければ売上はとどまり、それ以上の成長は期待できません。ロングセラーブランドは、歴代の担当者達が休むことなくずっと走り続け、バトンを繋いできた汗と涙の結晶なのです。
ポッキーは発売してから50年以上が経ちますが、現状に満足することなく、日々チャレンジの連続です。
ブランド担当者の立場で考えると、そのブランドが若いうちは、様々な打ち手が許され、迷いながらも大きな挑戦ができる遡上があります。しかし、これが2年、5年、10年、50年と続くブランドになっていくと、そのブランドらしさとは何なのかという答えのない迷宮に迷い込んでしまうだけではなく、その恩恵と比例して制約もどんどん大きくなっていきます。ポッキーで例えると、赤い箱、プレッツェルにチョコレートがついた形状、など大切な約束事がたくさんあります。
この制約ばかりに目線がいってしまい、気づかないうちに色んな「型」や「ルーティーン」に縛られているかもしれません。