従来のコラボの型を捨てた、新たなコラボの形
メンバーが決まり、いよいよ始動したプロジェクト。次は、どれくらいの「深度」でコラボしていくか、が議題になるかと思います。
拙著『ブランドのコラボは何をもたらすか』では、コラボの3つの型について取り上げています。世の中のコラボケースをみると、その中でも大きく2つの手法が用いられることが多いように感じます。1つ目は、人気のブランドやコンテンツの力を借りて、カバーリングする方法(カバー・コラボ)。2つ目は、お互いのブランドの名前を交換し合う方法(ダブルネーム・コラボ)です。それらの型については書籍に記載しているのでここでは省略しますが、王道手法ともいえるこの2つは、取り組みやすい反面、一過性のムーブメントとして終わってしまう弱点を持っています。
そこで私たちは、長期的な目でのブランディングを狙い、継続的にリターンが見込める新しいコラボの手法はないかと考えました。それが、のちにこのプロジェクトの肝となる「コラボを1ブランドではできない取り組みをするための手段と考え、共創する。」という思想を組み込んだ、新たなコラボ手法「スクラム・コラボ」の誕生へとつながります。それぞれのブランドの世界観は尊重しつつも、それ以外のマーケティングミックスの部分はゼロベースで共に考え、全く新しいブランドや商品を作り出すというものです。
「コラボは労力のわりに、リターンが低い。」そんなイメージは、少なからずあると思います。でも、お互いのブランド観や商品開発のプロセスを共有しながら、ネームバリューを上手に活用し合うことのメリットの大きさは計り知れません。一過性のコラボではなく、1+1=3になるような新しい価値を創造するコラボにこそ意味があるのだと、4度にわたるプロジェクトを通して実感しています。
様々なチャレンジをしていく中で、一つだけ、プロジェクト開始から今でも守られているルールがあります。
それは、「午後の紅茶味のポッキー」「ポッキー味の午後の紅茶」という商品開発は禁止というもの。
もちろん、フレーバー交換がダメ、ということではありません。企業コラボの概念を変えるような、業界や職種をも超越した、誰も見たことがないコラボを生み出そうと、あえて難しい方に舵を切ることで得られる成果、うまみに気づいてしまったからかもしれません。
次回は、スクラム・コラボならではの、新しいコラボのプランニングについて紹介していければと思います。どうぞ、お楽しみに。
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