ファンに成果を求めてはいけない
藤崎:実際に取り組まれて、いかがでしたか。
室井:最初にファンの方々とキックオフミーティングを行いましたが、そのあとしばらくは私たち事務局からの情報提供に終始してしまい、アンバサダーの方に話題を広げてもらうのを見守るような体勢になっていました。
当時のやり方には反省点がいろいろあります。特にお金をかけた施策なら、それだけの成果を数字で出さなければならないと考えていたのは、今から思えば間違いでしたね。
藤崎:マスマーケティングのスタイルから抜けきれなかった?
室井:その通りです。アンバサダープログラムは「人を介した新しい媒体」という認識が強かったのかも知れません。活動のゴールも、アンバサダーにどのくらいの数をクチコミして頂けたかとか、ディーライフの認知向上にどのくらいつながるのか、などを目標にしていました。
しかし、実際にリーチの伸びなどを見ただけでは、アンバサダープログラムの成果がよく見えてきませんでした。一部の方は、プログラムに参加する前も、すでにたくさんの情報発信をしてくださっていたことも関係があったと思います。
藤崎:マス広告では、例えばTVCMのオンエア量を増やすとリーチが増えますが、アンバサダープログラムでは予算に応じてすぐにクチコミやリーチ数が伸びるわけではないですからね。
室井:そうなんです。しばらくやっているうちに、「あれ、もしかしたらこういう風にやってはいけないのかな」と感じるようになりました。そもそも、アンバサダープログラムというのは、直接の見返りや短期的な成果を目的にしてはいけないのではないかと。
藤崎:重要なポイントかも知れませんね。ファン重視のマーケティグ成果は、マスマーケティングの成果とは違うということですね。今までとは違う発想が必要なので、切り替えが難しいのも当然です。
室井:新しい経験だったにも関わらず、古い尺度で、成果を測ろうとしていたのです。まずは「数で成果を測る考え」を改めないといけないと思いました。