新しいメディアの形を追求
—休刊になったひとつの要因に、「渋谷の街からギャルが消えた」ことが挙げられると思います。時代の変化がある中、「web egg」はどのようなメディアを目指しますか。
最近は、校則がきつくなったり目立つことを恐れる子が増えたりして、たしかに街を歩いていてギャルに出会うことは少なくなりましたね。
ただ、消えてしまったわけじゃないんです。ギャルはSNS上にいます。基本的に最先端を追いかけるのが好きな子たちなので、Instagram や動画アプリ「Tik Tok」など、気軽に投稿できるSNSに写真とか動画をアップして楽しんでます。ギャルの表現の場がストリートからSNSに移行しただけなんですよ。
特に動画は人気で、ギャルたちが日常的に見ているメディアは、雑誌でもテレビでもなくYouTubeなんです。特に私より下の世代の子たちだと「テレビはまったく見ないけど、YouTubeは1日に5~6時間見ている」って子がほとんどですね。「web egg」でもこの流れを取り入れて、新しいメディアの形に挑戦しています。
一番の特徴は、ウェブサイトのトップ画面に文章記事よりも動画コンテンツをメインに据えていることです。今のギャルの子たちに見てもらうには、やっぱり動画で発信するのが一番じゃないか、と考えたんです。そこで、YouTubeに「eggちゃんねる」をつくって、そこに配信したコンテンツをウェブサイトにも動画記事として上げています。私も一からYouTubeの勉強をしました。
現在8人にお願いしている「eggモデル」もSNSで探しました。フォロワー数もひとつの基準ではありますが、自撮りのうまい子とか投稿するネタに魅力のある子には声をかけるようにしています。特に「web egg」では動画を撮るので、タレントさんのように“動画映え”する話し方とか面白さも求められるからです。
昔のeggは渋谷の街でスカウトすることが多かったらしいんですが、SNSのほうが絶対効率がいい。その子の見た目だけじゃなくて、性格とか趣味とか、いろんなバックボーンがスカウトする前から分かるわけじゃないですか。それに、彼女たちには元々SNS上でファンがいるわけなので、その分「web egg」の読者も増えるんです。
「月刊」時代のイメージを踏襲
—かつて『egg』を発行していた大洋図書ともライセンス契約を結び、従来のブランドイメージも大切にしていますね。
私がegg好きなのもあって、ウェブ版にも歴代eggへの愛情が詰まってます。ウェブサイトのトップページに飛ぶと縦長の画像があるんですが、実はこれ、雑誌の表紙と同じレイアウトなんです。当時と同じデザイナーに発注していて、月刊誌のように月ごとに差し替えてます。
サイトに掲載するコンテンツの制作も、「月刊」を意識したサイクルです。毎月、編集部員4人(うち1人兼業)で企画のテーマを話し合った後、1週間の撮影期間に入ります。この期間に撮影した動画や画像を、1カ月間でどんどんアップしていくんです。今は、動画も文章記事も1日に1本ずつ更新しています。
編集作業は、文章記事に関しては基本的に編集部が担当していて、動画は外部委託しています。現在はモデルが書いたブログ風の記事もあるんですが、今後は編集部員だけで制作できるように体制を整えたいと思っています。