【前回】「【リレー式コラム】これからのコラボのつくり方① ロングセラーブランドはもっと面白くなる! — 午後の紅茶×ポッキーから学ぶコラボ術 —」はこちら
はじめまして。電通関西支社でコミュニケーション・プランナーをしている石本藍子です。前回は私たちが開発した、これまでにないコラボ手法「スクラム・コラボ」のチーム編成についてご説明しましたが、今回はこのスクラム・コラボを成功させるために欠かせない、とっておきの秘訣をご紹介したいと思います。
アイデアは“通す”のが難しい
当コラム読者の皆さんの中にも、会議で盛り上がった面白い企画が、最後の最後になって社内上層部NGによりお蔵入り・・・なんて経験をされた方がいらっしゃるのではないでしょうか。社内を通すハードルが高くなればなるほど、それがいつの間にか目的化してしまい、本当に届けるべき消費者が見えなくなってしまう、なんてケースも、悲しいかな、よく見られます。
本来エネルギーを割くべきは、面白いアイデアを「考える」作業のはずなのに、「通す」ほうに必死になってしまう。これでは本末転倒です。しかし、私たち広告会社の人間をはじめ、クリエーティブなお仕事をされている方はこの罠に陥りがちなんですよね。
広告制作の場合、通常はまずクライアント側の現場担当者が、商品の課題や広告の出稿目的を整理し、依頼事項をまとめた通称「オリエン(オリエンテーションシート)」を作成します。
それを広告会社の担当営業に依頼し、担当営業はオリエン内容にあわせたスタッフィングを行います。そして練り上げたプランをクライアント担当者にプレゼンし、社内決裁者(複数いる場合もあります)に確認をとりながら、通して行くのが一般的です。
今回のコラボプロジェクトでは、このフローを2社分(キリン・グリコ)行わなければならず、手間も時間も単純に2倍になってしまうことが容易に想像できました。仮に両社の上司たちが正反対のフィードバックを行った場合、調整はさらに複雑を極め、2倍以上の労力がかかります。
そこで、私たちは思いきって、チェックフローの構造そのものを大きく変えたのです。