森岡毅氏とバイロン・シャープ氏の交点に見るマーケティングの法則
森岡毅氏、今西聖貴氏の共著である『確率思考の戦略論-USJでも実証された数学マーケティングの力』は、両氏がユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)をV字回復に導いた、成功の背後に数学的な確率論を用いたという解説書として有名です。ビジネス戦略の成否は「確率」で決まっている、かつその「確率」はある程度、コントロール可能であるという数学マーケティングの有効性をUSJのケースをもとに解説した1冊です。
「アドタイ」読者の中にも、読まれた方が多い1冊ではないかと思います。ですが、この著書が理論的な「説明」であって、その方法論やアプローチを特殊と感じている人は多いのではないでしょうか。自分もその一人でした。
しかし最近、翻訳されたアレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ氏の2010年刊行の『How Brands Grow: What Marketers Don’t Know (邦題:ブランディングの科学)』を読みなおし、森岡氏が語っているアプローチは特殊でもなんでもなく、原則的なマーケティング法則について指摘していることを改めて認識できました。
その論点の大きなところだけを取り出すと、ターゲティングとロイヤリティの神話に対する統計的実証に基づく反論です。
1.ターゲティングは自社の顧客の幅を狭めてはならない。
2.ロイヤリティ層だけを狙ったマーケティングは成功しない。