狭い世界でしか機能しないアテンション効果を脱するには?

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オタクたちの「狭い」技術と「広い」標準化

伊藤穣一氏によれば、インターネットの歴史を振り返ってみると、国際的な技術標準を作り出そうとする研究開発の一部としてパブリック(公共的)な意義で推進している時期と、その提示された標準をベースとして製品を作り出しビジネス的な拡張をしてきた時期がサンドイッチのように層をなしながら、相互に発展してきていることがわかります。

前者の世界市民主義(コスモポリタニズム)と後者のテクノロジーの普及を推進した市場競争主義は、ジョブズとゲイツの対比がそうだったとおり、一方では「夢のような未来」を描き出し、もう一方では様々な製品が現れては消えるような絶え間ない進化の歴史を生み出しました。

インターネットは、オタクたちが技術的に可能な面白いことからスタートしつつ、彼らの純粋な理想から公共の福祉としての標準化を経て、さらにその標準をもとに、さまざまな営利企業が競争を繰り返すことで、すべての技術的発明が対面する「キャズム」を乗り越えてきたといえます。

それはある意味でインターネットのような進んだテクノロジーは、あたかも相反する欲動を持っているといえるでしょう。それはすなわち一つは理想的につながる公共的な広い世界と、もうひとつは好きな人たちだけで固まりたいという友達だけの狭い世界です。

次ページ 「テック企業が示す理想に見えるものの皮肉な矛盾」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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