狭い世界でしか機能しないアテンション効果を脱するには?

消費者に与える変化も理想とのギャップが激しい

消費者の変化に目を転じると、このような矛盾はスマートフォンのような高度なデジタルデバイスの普及によって、もたらされた二面性にも反映されているように思えます。すなわちPC並みの高度な処理能力をもつスマートフォンが、単なる通信手段ではなく、世界や人々とつながる正の側面を想像させながら、企業からするとより分断された狭い世界のエコーチェンバーを強化しつつあるという点です。

単純な例はユーザーがメディアとなって世界へ自由に情報を発信できるYouTubeにはじまったUser Generated Contents(ユーザーが創造するコンテンツ)はもともと情報の民主化を目指したバランスの取れた公共性を目指していたのに、旧来メディアよりも極端な偏りと拝金主義的なユーチューバーを生み出し、従来のメディアよりも「差別的」なコンテンツを発信するようになっています。

ソーシャルメディアも同様の情報の民主化、平等化を目指しながら、結局のところフォロワー数やエンゲージメントの数によって「ランク付け」される世界を助長しているだけです。

多様化セグメント化といわれながら、実際のところはこれまで棲み分けられていたようなコミュニティが影響力のような名で順位付け、優先順位付けにより配置されはじめたことで、人気のあるものにスポンサーが集まり、そうでないものはどうやって順位を上げるかどうかということだけに躍起になりやすいという悪いサイクルに向かいがちです。

次ページ 「判断にかける時間がますます減少」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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