判断にかける時間がますます減少
そして人々の判断力も、行動経済学でノーベル賞を受賞した、ダニエル・カーネマンの定義するふたつのうちひとつの方向に偏りつつあります。カーネマンは時間をかけない直感的な判断、いわゆる脊髄反射の類を「システム1」、時間をかけゆっくり考える必要のある脳の活動を「システム2」と呼んでいます。
その意味では、資本主義側のロジックではテクノロジーの進化によってリアルタイムに遠隔地にいても、つながることによって、生産性を向上することが出来ています。それは逆に言えば、人々が判断にかける時間がますます減っていっていることです。
スピードと素早い意思決定は、このデジタル時代になって余計声高に叫ばれる優先事項ですが、このような考えほど消費者や働く人の脳をますますシステム1の方向にドライブしていくことになります。
マーケティングの文脈でいえば、ソーシャルメディアに「タイムライン」という考えが導入されたのはそのような方向性のひとつでしょう。また、デジタルメディアによって30秒がTVCMの単位だったアメリカのような国でさえ、6秒のユーチューブバンパー動画や15秒のような短尺が隆盛しつつあるのはそのような背景からです。
スナップチャットやインスタグラムのストーリーズのように短い動画をクイックに消費するようになったことで、消費者はこれまでメッセージを送りあう感覚でリッチなコンテンツをコミュニケーションできるようになりましたが、その中身は短い時間で感覚的にやり取りできるものがメインになりつつあります。