「日本に最も求められるのは広報だ」 — 企業広報賞表彰式開く

優れた企業広報を実践している企業や経営者、企業広報の実務者を顕彰する「第34回企業広報賞」(経済広報センター主催)の表彰式が5日、都内で開かれた。

企業広報大賞を受賞したカルビーの伊藤秀二社長兼CEO

「企業広報大賞」にはカルビーが選ばれた。ジャガイモの不足でポテトチップスが販売休止に追い込まれた際、メディア向け説明会を5回にわたって開き、日本のポテトチップスのビジネスやジャガイモの供給体制について説明を重ねた。
また十分な商品供給が可能になった際には、都道府県ごとの47通りの味のポテトチップスを商品化するキャンペーンを行い、販売増につなげた。伊藤秀二社長兼CEOは、「ポテトチップスの価値を再認識していただくとともに、日本の農業と密接に結びついていることを広く知ってもらうことができた」と広報の成果を強調した。

「企業広報経営者賞」には、ANAホールディングスの大橋洋治相談役と、ジャパネットたかた創業者の髙田明氏がそれぞれ選ばれた。

大橋氏は、ANAが企業スローガン「あんしん、あったか、あかるく元気!」を掲げた際に社長として同社を率いた。大橋氏は、「このたびの台風で、関西国際空港が甚大な被害を受けた。こういう時こそ、『あんしん、あったか、あかるく元気!』を信じて頑張っていくべき」と呼びかけた。

髙田氏は2015年にジャパネットたかたの経営から退いたのち、地元長崎のJリーグチーム「V・ファーレン長崎」の社長を務めている。「日本に最も求められるのは広報だ。どんな言葉で、どんな思いで伝えるか。ミッションや理念も含めて伝えることが重要」と述べた。

「企業広報功労・奨励賞」を受賞した日本電気(NEC)の飾森亜樹子コーポレートコミュニケーション部長は広報歴30年、森ビルの野村秀樹広報室長は21年と、どちらも広報の大ベテラン。飾森氏は、ESG投資や国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)が注目される中で、「社会を良くする広報」をあらゆる企業や団体との共創で実現したいと呼びかけた。野村氏は、「21年間、この仕事に飽きたことはない。コミュニケーションを武器に、新しい世界を切り開いていくことが広報の醍醐味」と力を込めた。

第34回「企業広報賞」の受賞者
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