デジタル力を駆使しないとスケールしない時代
ところで、この「時間で積分」というのは、今までは考えにくい概念でした。例えば、8月に5万販売されていた商品が、9月にも同じ5万販売されたからといって、同じ5万人が買ったかどうかは、わかりませんでした。しかし、今はさまざまなデータが公開され、また大量のデータを早く分析できる、デジタル・ツールも増えました。つまり、デジタルの進化により、「時間で積分」することが、可能になってきたのです。また、マーケターも、自らCRMやDMPなど導入することが可能になり、どのようなお客様と継続的にコミュニケーションしているのかを理解できるようにもなってきたのです。
つまり、『シングル&シンプル マーケティング』で説明しているマーケティングを実践しようとすれば、デジタルの力は必要になります。しかし、ここでも触れておきたいのでは、私たちマーケターが必要なのは、デジタルの力であり、デジタル・メディアだけを使ったコミュニケーションではないのです。マーケティングの分析や、お客様の理解に、デジタルを駆使することが、重要なのです。
お客様の理解、マーケティングの基本
さて、この「シングル&シンプル マーケティング」は、このように考えると必ずしも新しくないかもしれません。One to Oneマーケティングの進化とも言えます。しかしこのように、マーケティングを整理し、自分たちの行うべきマーケティングをきちんと再整理することは、必要なことでしょう。
この「シングル&シンプル マーケティング」を読まれた後に、皆さんのマーケティングを整理してみてはいかがでしょうか。そして、今のマーケティングの強み、そしてその強みが、将来にわたって使える強みなのか。それを整理することにより、皆さんの「シングル&シンプル マーケティング」の方法も見えてくるのではないでしょうか?ぜひ、これからは、皆さんと将来のマーケティングについて、実際にお会いして議論をさせて頂ければと考えています。
本間 充(ほんま みつる)
アウトブレイン ジャパン株式会社 顧問/アビームコンサルティング株式会社 顧問
宣伝会議 デジタルマーケティング実践講座、デジタルソリューション営業基礎講座、データマーケター育成講座、広告効果測定講座、メディアプランニング基礎講座、マーケターのためのKPI設定講座講師。
1992年、花王株式会社に入社。1996年まで、研究員として、スーパー・コンピューターを使って、数値シミュレーションを行う。社内で最初のWeb サーバーを立ち上げ、以後本格的に業務としてWeb に取り組む。2015年に、アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの事業会社のマーケティングの支援、Web コンテンツ管理システム導入を行う。その他、ビジネス・ブレークスルー大学講師や、東京大学大学院数理科学研究科客員教授(数学)、内閣府政府広報アドバイザー、文部科学省数学イノベーション委員などを務めている。
『シングル&シンプル マーケティング』
大量生産、大量消費を目指すのではなく、対話+データ分析で個人に寄り添う、これからのマーケティングを、宣伝会議の人気講師が提唱。利益を伸ばしたいマーケター必読。好評発売中!