一人ひとりの人生にも「パーパス」はある
実は、これは私たち一人ひとりのキャリアに対しても言えることだと考えています。自分のライフワークが明確でブレない人は、自分自身がどのような「パーパス」を持っているかが明確なのです。もちろん、自分の働く社会的意義なんてものはそう簡単に見つかるものではなく、長い人生の旅の中で探していくものです。が、常にそれを意識するだけでも、より自分自身のビジョンが描きやすくなり、結果として「やりがい」のある仕事を見つけることができるのだと思います。
まずは、会社に来て漫然とPCに向かうのではなく自分の向き合う仕事に「なぜ」それをするのか、を考える習慣をつけましょう。
「何のためにそれをするのか?」 常に「目的」に回帰し、手段を目的化させない
事業のビジョンが明確になると、そこにたどり着くための目的・目標を落とし込んで考えられるようになります。進むべき方向性に迷いがなくなるからです。しかし、次にこの「目的」「目標」を明確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?普段の仕事で陥りがちなのが、目的を明確化せずに目標ばかりを追いかけてしまうことです。
私自身、自分のチームのメンバーと働く際には常にこの考え方を徹底することを心がけています。私自身は出張や会議で時間が拘束されることが多いので、なかなか部下と時間をかけて接する時間が取れません。できる限り「報連相」的なことはメール等で済ませ効率化するようにしていますが、部下からの企画やアイデアの提案に対しては、必ずFace to Faceで話を聞き、アドバイスをするようにしています。
「パーパス」「ビジョン」「目的」「目標」を一つずつ順を追って整理する
部下から企画の提案を受けた際には、その企画の目標数値を聞いたり、些細な実行課題に最初からつっこむことはせず、「この企画の目的は何か?」を問うことにしています。担当業務を持つ人間は特にですが、企画を進めるうちに、「目標」や「手段」が「目的」化してしまうケースが多くあります。そこで常に最初の「目的」に回帰し、目的に基づいた適切な施策になっているか、自分で振り返る習慣を身に着けさせるためです。
言葉遊びのようですが、実はこの部分がしっかりしないと、アイデアがずれた方向に走り、企画会議はしたけど結局何も形にならなかった…なんてことが発生してしまいます。「パーパス」「ビジョン」「目的」「目標」は一つひとつ順を追って整理する、アイデアを膨らませるのはその枠組みを抑えたうえで都度頭の中をリセットして行う、といった、左脳と右脳をきちんと使い分けることをクセにすることをお勧めします。
特に日々の仕事では「目的」への回帰を繰り返すことで、無駄な仕事を減らし、アイデアを精緻化、具体化するスキルが身についていきます。簡単な案件であっても、慣れるまでは毎回「目的」を書き出してそこに戻れるようにしておくといいでしょう。
今後、連載では私なりのアイデア発想から具体化までの一連の流れをお話していきます。次回は、アイデアを発想する際に欠かせない「情報のインプット」について説明したいと思います。