リアルとデバイス上の画像や動画を融合させるこの技術をマーケティングに活用するのが、スターティアラボの「COCOAR」だ。これまでの技術的な問題点や高コストを克服したというサービスの詳細について、代表の北村 健一氏とマーケティンググループの石渡 奈月氏に話をうかがった。
「高嶺の花」の技術を普及させたい
—まずは事業立ち上げの背景と事業概要について聞かせてください。
北村:弊社はもともと親会社「スターティア」内で、電子ブック制作ソフトの事業を社内ベンチャーとして開始しました。その後、2009年にスターティアラボとして分社化し、デジタルマーケティングの領域でARやMAを活用した商品を開発・提供し、今に至ります。
弊社の全商品に共通するのが、これまで大手企業がコストをかけて導入していた技術を中小企業やスキルのない人でも手軽に運用できるようにすること。高嶺の花だった技術を普及させることが我々の理念です。
大幅なコストカットとシンプル操作を実現した「COCOAR」
—ARをマーケティングに活用できるという「COCOAR」の強みをきかせてください。
北村:ARは従来、コンテンツとそれを配信するアプリをセットでつくるのがセオリーです。ですが、それだとアプリ制作の初期費用だけで数百万円、企画全体となると数千万円もかかっていました。
スターティアラボでは「COCOAR」というあいのり型アプリを作ることでその問題を克服。ARの基点となるマーカー画像データとコンテンツデータを紐づけたものをクラウド上に用意しました。
それにより、マーカーにカメラをかざすと瞬時にデータベースを参照し、マーカーの存在をチェック。該当するコンテンツをダウンロードし、重ね合わせて見せることでAR体験を実現しています。
制作費の大幅なコストカットに加え、ブラウザ上でボタンを押すだけで数分でARがつくれてしまう。これがCOCOARの最大の特徴であり、強みといえます。
—これまでの導入実績は1,550社を超え、中でも動画コンテンツの活用が多いとうかがっています。やはりARによるマーケティング効果は高いといえるのでしょうか?
北村:そうですね。COCOARにアップされた企画数は現在11万個を超え、ユーザーさまのCOCOARアプリのダウンロード数は193万件を突破しました。
ARの一番のメリットは、新たなユーザー体験の創出にあります。通常、紙媒体やリアルな広告物をマーカーとしてスマホにかざすのですが、静止していたものが動きだすことで沢山の情報を伝えられますし、何よりも驚きや面白さが生まれますよね。それが楽しみながら企業に親しみを感じられるユーザー体験を生み出しているのです。