決めつけをせずタブーに切り込む
—シリーズを振り返って、ご自身ではヒットの要因についてどう分析していらっしゃいますか。
やっぱり本書が、今までの図鑑にはなかった「ざんねん」な部分、いわゆるタブーに勇気をもって、あえて切り込んだからだと思います。
例えば「トレーニング本」をつくるなら、スタイルのよいモデルを撮影して、ステップを図解していくという王道の手法がありますが、最近はイラストやコミックエッセイで見せていく本もあります。つまり、「このジャンルはこういう体裁で、こういう読者に読まれる」という決めつけをしないことも大切なんですね。本書を通じて気づかされました。
「読者がより楽しめるにはどうしたらいいか」を軸に、「今までやっていなかったこと」や、「やれなかったけど今ならできること」にチャレンジしていくことが編集者として大切なのだと、強く感じています。
アニメ化も決まり、2018年8月からNHK Eテレで放映が始まります。この夏も「ざんねんないきもの」旋風が吹き荒れるといいなと思っています。
『編集会議』2018年夏号では、「大家さんと僕」をはじめとする2018年上半期のヒット書籍の裏側を多数取材。巻頭特集では「“書いて、書いて、書いて、生きていく”という決断」と題し、塩田武士さん、上阪徹さん、藤田祥平さん、燃え殻さん、夏生さえりさん、高氏貴博さんの人生に迫っています。
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