社員全員でつくり、コミュニティで売る!常識を覆す『ティール組織』の裏側

背伸びして読んでもらう本をつくる

—英治出版では、『イシューからはじめよ』(2010年)、『異文化理解力』(2015年)など、長く売れ続けるビジネス書を多数手がけています。今の時代に「売れる本」「売れ続ける本」をつくるために重視していることはありますか。

当社では、読者に少し背伸びをして読んでもらうような本をつくりたいと思っています。読書離れが叫ばれるなか、ビジネス書は読者に優しくしようとする傾向があると思うんです。いつの間にか、できるだけ分かりやすい言葉を使うようになり、内容もどんどん削っています。効率的に、ポイントさえつかめばいいという読者がいるのも事実です。ただ、気軽にさっと読めてしまう本はあまり頭に残らないんですよね。

我々は基本的に読者に迎合せず、本そのものの価値をしっかりと伝えることを重視しています。これまで約350タイトルを出版してきましたが、どれも時代を経て読み継がれてほしいので、著者の都合などを除いては絶版にせず売り続けています。読者の頭に残り、その後に影響を及ぼすような本を、そして長く売れる本をつくっていきたいと思っています。

そのためには、編集者は「編集者」である以前にビジネスパーソンとして、プロジェクトの予算などの数字も細かく管理していく必要があると思います。もちろん、本づくりにおいては数字に翻弄されるのではなく「本の中身の価値を高める」という視点で編集をしていきますが。出版後もそのコンテンツを使い捨てにせずに、編集者がリードしてメンテナンスしていくことが「売れ続ける本」につながります。

日本の出版市場がこれから拡大するということはきっとありえないですよね。だからこそ長く売れる本をつくることがますます重要でしょうし、ほかのメディアと組み合わせて発信することや、紙以外の形でコンテンツを提供していくことも考えていくべきです。様々な角度から本の価値を高め、結果、収益につなげていくことができればと考えています。

カバーの色はブルーとグリーンの間の「ティール」。

『編集会議』2018年夏号では、「大家さんと僕」をはじめとする2018年上半期のヒット書籍の裏側を多数取材。巻頭特集では「“書いて、書いて、書いて、生きていく”という決断」と題し、塩田武士さん、上阪徹さん、藤田祥平さん、燃え殻さん、夏生さえりさん、高氏貴博さんの人生に迫っています。
 

 

『編集会議』2018年夏号もくじ

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