『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の企画始動は2012年
大根:マジですか? マーケティング、広告の仕事でユーザーの感覚を意識している方にそう言われるとね。映画は今、難しいんですよ。僕は『モテキ』で映画監督デビューして、『バクマン。』、そして『恋の渦』というインディーズの自主映画を1本挟んでいて。メジャー映画としては『モテキ』と『バクマン。』の2本はヒットしたんですよ。野球にたとえると・・・何でも野球にたとえるのが中年の悪い癖ですね。
一同:(笑)
大根:二塁打、三塁打ぐらいは打てた感じはあるんですけど、続く『SCOOP!』と『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』も自分ではヒットの手応えがあったんだけど、当たりが良すぎて凡打の感じだったので、今回はと。一応、メジャー映画としては5割で来てるんですよ。
権八:打率が。
大根:打率がね。野球にばかりたとえますけど(笑)。今回はあからさまにバットをぶんぶん振り回して、ヒットを打とうと意識してつくりました。
権八:今回はヒットするいろいろな要素が目白押しで。
大根:権八さん、責任とってくださいよ。これでコケたら本当に落ち込みますよ。
権八:いやいや責任て(笑)。ヒットしそうだし、僕も大好きな映画です。
中村:映画って本当にマーケティングが難しいなと思って。口コミで見に行くのが強いと思うんですけど、その火種をつくる初めのマーケティングがね。なぜかというと、見る前に金を払わないといけないじゃないですか。なので、「これは自分が見るべきものなんだ」と、ある程度、心の中にスロットされてないと難しいですよね。さっきの『SCOOP!』もそうですが、良作が必ずしもすごい興行収入いくわけじゃないじゃないですか。
大根:本当にそうなんですよ。
権八:今回の『SUNNY』について熱く語りたいこといっぱいあるんですけど、まずは大根監督からどんな映画なのかお話していただいたほうが。
大根:え、俺から(笑)? もともとは2012年に日本で公開された『サニー 永遠の仲間たち』という韓国映画なんですよ。オリジナル版は現在軸が2009年で、かつて自分達が女子高生だった時代が1985年という設定で、簡単に言えば、大人になって生活に疲れてきたアラフォーの女性たちが、ある日、サニーというグループのリーダーだった子と出会って。
その子が末期ガンで残り1カ月しか命がないと。そこで、かつてのサニーのメンバーを探し求めてほしいとお願いして、1人ずつ探していきながら過去の女子高時代の物語がカットバックされていくという話です。
「これを日本でリメイクしませんか?」と、川村元気という希代のヒットメーカーが。
権八:出た! この番組にも来ましたよ。
大根:マジですか。大嫌いですけどね(笑)。
中村:大嫌いだったらあんなにたくさんやらないでしょう(笑)。
権八:愛情の裏返しがね。愛憎ですよね、本当に。
大根:そう言われたんですけど、オリジナルの設定のままの1985年の女子高生に置き換えたら間違いなくトピックがないんですよ。それは俺自身がリアルタイムなのでよくわかるんです。では、日本における女子高生に大きなトピックがあった時代はどこかと言えば、90年代のコギャル世代。そこに置き換えてつくったらどうだろうと、企画が立ち上がったのが2012年ぐらいです。
権八:え、そんなに前に?
大根:それをやるにはコギャル世代がアラフォー世代になるまで待とうと企画を寝かせておいたんです。ビジネス的なことを言えば、権利だけを押さえて、制作期間を待っていて。わかりやすく言えば、安室ちゃんが40になる歳にやろうと言ってたんです。
権八:その頃からですか?