【クオンタムリープ×フラクタ】データの時代で変わる企業経営とブランドのあり方

ソニーの経営トップとして同社の変革を主導した出井伸之氏は今、日本の次代を担うベンチャー企業の支援に力を注いでいる。今の企業家や世の中を出井氏はどう見いるのか。フラクタ代表取締役の河野貴伸氏が聞いた。

左から、出井伸之氏、河野貴伸氏

経営者は「対話上手」であれ

河野:今、出井さんはベンチャー企業や、その経営者を支援する仕事をされています。出井さんを頼ってくる経営者は、やはりソニーのようなグローバル企業を目指しているのですか。

出井伸之氏(クオンタムリープ 代表取締役ファウンダー&CEO)

出井:立ち上がったばかりの企業がいきなりグローバルというわけにはいきません。まずはいかに生き残るか。市場という大海原に飛び込んだということだけでも素晴らしいことです。そこは評価して、その海をどうやって泳ぎ続けるかについてアドバイスをすることが多いですね。

企業によって課題は違いますが、社員も含めたチームをいかに強くしていくかが重要ということは共通しています。そこで大事なのは「会話」と「対話」。トップが指示するのではなく、チームのメンバーである社員と会話をしなければならない。

ただ会話するだけではダメで、意見に違いがあれば対話をする。対話というのは、考え方が違う人と一緒にすることで、答えを見つけようとするものです。そういう意味で、対話の上手な経営者がいる企業は伸びていきます。自分はトップだから命令すれば良いと思っている人より、対話を重ねながらチームが持つ能力を引き出すことが重要です。

河野:私もそう思います。力強く引っ張っていくリーダーや、それを求める人もいますが、特に現代は、本当にチームとなって動かないと生き残れない。対話も時には激しくなるかもしれませんが、意見交換ができることで信頼関係も生まれます。

出井:対話をするのは会社のためでもあり、自分のためでもある。会社のために、対等に意見を言えることは大事です。

河野貴伸氏(フラクタ 代表取締役)

河野:私はブランディングについて相談を受ける際、重要なのはデザインなど見た目をよくするだけではないと話すことが多いです。売上を伸ばし、成長し続けるためには、全ての社員が意識を揃えなければなりません。

ベンチャー企業で少人数の場合はともかく、ある程度の企業規模になると意思疎通も、そのための仕組みも整備されていないことが多い。お客さまの求めているものは何かと聞くと、社内でバラバラな回答が返ってくることもあります。スポーツでチームワークが大事と言われるのは、その実現が難しいからです。企業でもチームワークを持って事業を進めていくことは、結果的にブランディングにつながります。

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