米国でマーケティングにかかわるキーパーソンが一堂に会する登壇するイベント「Advertising Week(アドバタイジングウィーク)」が10月1日から、ニューヨーク・タイムズスクエア周辺の複数会場で開催された。アドバタイジングウィークは2004年にスタートし、今年で15回目を迎える。セッションの一部を、写真を交えて紹介する。
多様なチャネルは、スポーツの楽しみ方をどう変えるのか?
「Delivering For Fans 」と題するセッションでは、スポーツマーケティングについてのディスカッションが繰り広げられた。登壇したのはRichard Shea氏 (President & Co-founder Shea Communications & Major League Eating)やGeoff Reiss氏 (VP & GM Yahoo Sports)など、スポーツビジネスに関わるパネラーたちだ。
米国では、トランプ大統領がNFLの選手に対して暴言ともとれるツイートをしたことを発端に、プロスポーツ選手との対立も話題になっている中で、ホットな話題だったようだ。
セッションでは「スポーツというコンテンツの消費の仕方が変わっている。スマートフォンがあれば、どこでもスポーツを観戦できる時代。パブリッシャー側は、どこでマネタイズするかを考えなければいけない。スポーツの場合、あえてニッチな市場に目を向けることも重要になるだろう」といった、変化するメディア環境に応じたスポーツビジネスの在り方について言及があった。
また昨今、日本でも注目を集めるeスポーツについては「アジア、あるいはブラジルでも盛んになってきている。従来のスポーツと異なり、ポップカルチャー的な位置づけではないか。いずれにしろ、今後も市場の成長に注視が必要」との指摘があった。
ライブ感が魅力のスポーツだからこそ、「“ライブ”という価値を最大限生かす、アイデアが必要」との指摘も。スポーツのライブ感は、選手もSNSを活用するようになった現在、試合後にも広がっている。従来の広告になかった要素がライブ感であり、企業のブランドコミュニケーションにスポーツを取り入れる、新しい道筋も見えてくるのではないか、といった議論が繰り広げられた。
ブランドは、人々の生活にどう変化を与えることができるのか?
「働き方」は、米国のマーケティング界でもホットなテーマのようで「Trust, Purpose and Authenticity: The Power of Brands to Change People’s Lives」と題するセッションでは、ストレスの多い現代において企業はコンシューマー、そして従業員に対してどのような価値が提供できるか、が議論された。
パネラーとしてはArianna Huffington氏(Founder and CEO of Thrive Global)や
Sara Saunders氏(Associate Brand Director P&G)が登壇した。
このセッションでは、アメリカの企業はブランドをつくり、そしてブランドの価値を上げることに最大の力を注ぐ姿勢が見えてきた。さらに、ブランド構築のプロセスにおいて、顧客はもちろん従業員の健康、さらに従業員の働く環境も大きく影響するとの観点から、一人ひとりの従業員と心と身体の健康に対して企業側がコミットしていくべきとの議論がなされた。