「もしも銀座に、津波が来たら?」 ヤフーが屋外広告に込めた想い

PRとは「世の中ごと」を生み出すこと

井口:クリエイティブを完成させるにあたって、PR的な視点はどのくらい意識していたんですか?

和気:より多くの人に伝わってほしいと思っていたので、ゼロではありません。でも、私たちヤフーの想いを真摯に伝えたい、現地の方が見てどう思うか。この二つに重きを置いて突き詰めました。ロゴも、もっと目立つ位置にすることもできましたが、議論を経て、一番下に配置することになりました。

井口:いろんな属性の人が見てどう思うかという視点でチェックしつつ、多くの人に響く表現に練り上げたわけですね。目立たせるという意味でなく、真の意味でPR、つまりPublic Relationsらしい取り組みだと思います。

ちょうど16.7メートルの高さが、赤く示されている。それを見上げて写真を撮影する人が多数現れた。ロゴは一番下に配置されている。

 

井口:結果として、報道ステーションで全文が朗読されたり、朝日新聞の天声人語でも触れられたりと、非常に大きな反響がありましたね。ソーシャルメディアでも「(震災を)忘れちゃいけない」「防災を考えなくちゃ」といったコメントが多く見られました。

和気:おかげさまで反響が大きく、SNSなども通じて普段の私たちの活動だけでは接触できない、接点のなかったお客さまにもメッセージを届けることができたのではないかと思っています。その意味で、PRの役割は大きいですね。

井口:僕はPRって“世の中ごと”を生み出すことだと思っています。ソニービルの屋外広告を見た一人ひとりの気持ちを動かし、アクションにつながったわけです。それがうねりとなってメディアを巻き込み、世の中を動かした。昨年のPRアワードは審査員ではありませんでしたが、屋外広告うんぬんという手法でなく、まさにこの「世の中ごと」のきっかけとなった点が、Public Relationsを成しえたとして評価されたのだと思います。

今年のPRアワード審査員を務める電通パブリックリレーションズ 執行役員の井口理氏。

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