EC向けに誕生したサービスが大手企業も活用するCX基盤へ
顧客を知らなければ、適切なアクションを適切なタイミングで行うことはできない。そこで、Web上の接客をサポートするために生まれたサービスが「KARTE」だ。リアルタイムで来訪者個人の動きを可視化・解析することで、最適なポップアップ表示や要素の書き換えなどを顧客それぞれに対して行うことができる。リリースからわずか3年半、多くの企業で導入が進み、累計25億ユーザーの顧客データを解析してきた実績を持つ。
もともとEC事業者向けのWeb接客支援ツールとして生まれた「KARTE」だが、わずか数年で、導入する企業の業種や規模が広がっているという。今年4月には総額約27億円の資金調達を実施。7月には銀座エリア最大の複合商業施設であるGINZA SIXへとオフィスを移転。
膨大な顧客データを扱ってきた実績とユニークな事業展開は注目を集め、9月19日、20日に開催をされた「Google Cloud Next」(新たなクラウドのテクノロジーや事例が紹介されるGoogleの基幹イベント)では、プレイド代表取締役の倉橋健太氏が2年連続で基調講演で紹介され、事業の成長を讃えられている。
「ここ1年で、企業が顧客について深く知ることの意味の理解が広がり、ニーズが高まっている。サービス開始当初の、“Web接客”というキーワードからは直接連想しきれない用途で『KARTE』を活用していただくことが増えました。EC事業者に限らず、金融や不動産、人材や自動車などオンラインだと、顧客の実態がなかなか見えない中、いかに顧客目線でマーケティングを行っていくかという点で共通の課題があるのではないでしょうか」と倉橋氏は話す。
そうした市場変化を踏まえ、“顧客の可視化による快適な顧客体験の創出”という立ち位置をより明確に表現する目的で、現在は「CXプラットフォーム」というコンセプトを掲げている。
点在化したデータをつなぎユーザーの行動と感情を導き出す
今や企業は、自社の会員基盤やプラットフォームを通じて、さまざまな顧客情報を取得している。名前や住所、性別、年齢などの会員登録情報。何をどれくらい買ったか、コンバージョンの情報。この2つを結びつけ、顧客を定義づけるための何らかのフラグを自社で定義づけ、購買履歴から購買予測を行うのがこれまでのデータ分析だった。しかし、「KARTE」を使えば、来訪者がどこから訪れ、サイト上でどういう行動をしたか、コンバージョンに至るまでのプロセスのデータを取得できるため、「人」として、その行動や感情を認識することができる。
昨年5月から「KARTE」を導入しているキリンは、顧客の「可視化」機能を、会員サイト全体のコンテンツ改善にも活用している。プライベートDMPを構築し、顧客のデータをブランド体験の向上に役立てているキリンだが、「一番搾り」のブランドサイトでは、「KARTE」を用いたリアルタイムな記事アンケートを実施することで、どの記事が誰にどんな心的・行動変化をもたらしているのかを可視化した。コンテンツ制作者がリアルタイムで反応を見ながらPDCAサイクルを回すことを可能にしているのだ。
他にも、資生堂や銀行などの大手企業でも導入が進んでいる。「最初はWebサイトのマネージメントをする部署で導入され、社内の他の部署にも活用の幅が広がっていくケースが多い」と倉橋氏。例えば、カスタマーセンターやコールセンターへと活用の幅を広げることで、いま応対している顧客の行動履歴を見ながら応対品質の向上を狙うケースや、Webメディアが「KARTE」を導入し、広告コンテンツを通じた広告主の見込み客育成に活用しているケースもある。また、マーケター・ディレクター・セールスなど立場の違う社員たちにとって「KARTE」が“共通言語”の役割を果たしたり、新たなサイト機能の検証基盤になったりもしているという。
「人」基軸のデータであるべき理想の顧客体験を創出
倉橋氏は、多くの企業が共通して抱えている、社内の“分断”と、蓄積したデータの“活用”の課題を指摘する。
「“分断”とは、リアル店舗やEC、モール、アプリ、LINEなど顧客接点のチャネルが多様化しているがゆえに、顧客の情報が点在していること。また、チャネルごとに部署が異なったり、マーケティングツールを複数導入したりしたことで、ツール間での顧客体験が分断されてしまっていることです。さらに、デジタルを軸に顧客データを蓄積することの重要性が認知され、DMPを導入するなどのアクションは進む一方で、蓄積したデータをいかに“活用”するのかまで描ききれていなかったり、関わる人材が不足しているなどの問題があります」(倉橋氏)。
ツール間をつないで簡単にデータ連携ができる。サイトを訪れた瞬間に顧客について知ることができるリアルタイム性を持つので、顧客に合わせた自由度の高いアウトプットが可能。データを直感的に解釈できる操作性で、マーケターひとりでも異なる顧客に対して様々な施策を打ちながら、PDCAを回せる――。こうした「KARTE」の特長が、企業の持つ課題にフィットしたため、従来のWeb接客の枠を超えた導入が進んでいるのだ。
マーケティング部門だけではなく、経営層や企画、営業、エンジニア、カスタマーサポートなど、さまざまな部署で使われるようになった「KARTE」だが、「人(顧客)軸であることや、情報取得からアクションまでワンストップで行えることなど、創業以来重視している点を突き詰め続けながら、あるべき理想の顧客体験を創出したい」と倉橋氏は今後の展望を語った。
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