人生を諦めかけたときに受賞したグランプリ 「宿敵」へと挑む思いが原動力になった

田辺ひゃくいち 氏(第52回「宣伝会議賞」グランプリ受賞者)

若手コピーライターの登竜門とも呼ばれる「宣伝会議賞」。その最高賞であるグランプリの受賞者には受賞後、どのような変化があったのでしょうか。グランプリ受賞は果たして人生を変えたのでしょうか。第52回「宣伝会議賞」でグランプリを受賞した田辺ひゃくいちさんに、受賞から3年経ったいま、正直な思いを聞きました。

—グランプリ受賞後に、何か変化はありましたか?

自分の文章や言葉で生きていく人生を諦めかけたときにグランプリを受賞して、「もう少し頑張ってみなよ」と背中を押されたような気がして。それを真に受けて今に至ります。

ずっとあがいてきた私を「絶対に大丈夫」と根拠なく支え続けてくれた妻もグッと喜んでいました。本当はずっと不安だったんでしょうね。

—グランプリ受賞には、どんな意味がありましたか?

宣伝会議賞のグランプリなんて獲っても意味ないですからねと、とあるコピーライターの方々からはバカにされたりなんかもして。これじゃあ受賞というか「受難」じゃないかと思うこともありました。

もちろん感謝している面も多々ありますが、どちらかというと「宿敵」みたいな相手だった気がします。「なにくそ」と挑んでいくような。

実はグランプリを受賞してすぐに本名を捨て、今の偽名に変えて活動を始めたんです。本名で検索されると、宣伝会議賞のことばかり出てくるのがイヤになって。周囲からは「頭おかしい」「もったいない」と呆れられたのですが。

でも、この宣伝会議賞グランプリというレッテルから脱しようとすることが、その先の原動力になってくれたと思っています。グランプリを受賞した瞬間から、「このままじゃダメだ」と、すべてが転がり始めて止まらなくなってしまったというか。

今では自分の会社を立ちあげることになりました。そして、今度は「コピーライター」というレッテルを超えて言葉や文章を書きたいとあがきつづけています。キリがないですね。

—「宣伝会議賞」後半戦を迎える応募者の皆さんに一言お願いします。

私はクライアントから「これが課題です」と言われても信用しません。課題設定が本当に正しいのかを疑うところから始めるようにしています。
なので、もしコピーを書くことに行きづまってしまったら、協賛企業から出されている課題がそもそも本当に正しいのかを疑ってみるのもいいかもしれません。

ただ、宣伝会議賞は、あくまで仕事ではなくアワードですので。そういう細かいことは気にせず、自分らしく振りきったコピーを考えてみるのも楽しいのではないかと思います。

第52回宣伝会議賞 グランプリ受賞者
田辺ひゃくいち(たなべ・ひゃくいち)さん

ことばでコンセプトをつくってからコピーや企画などを考える会社「一(ぼう)」代表。慶應大学環境情報学部卒業後、アダルト会社や某中国法人支社長など10年で10職以上を流転したのち、第52回宣伝会議賞グランプリを受賞。もう少し生きてみることに。2018年6月に独立。

 


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