絶対にもとを取ってやる。-コピーライター養成講座体験記

版権 : Satoru Hatakeyama/123RF 写真素材

大学3年生の秋。そろそろ就職活動が始まる頃。
どんな会社に入りたいかの前に、何の職業に就きたいのかを考えた。
まず大事なのがお金。親からは「大学を出たらビタ一文やらん。自立しなさい。」
と中学生くらいの頃から言い聞かせられて来たので、とにかく安定した給与が
得られる職業に就きたいと思った。

続いてやりたいこと。私は言葉を書くことが中学生の頃から好きだった。
好きなことを仕事にすれば長く楽しく続けられるだろう。
安定した給与を得ながら、言葉を書ける。
そんな夢の職業は、コピーライターというらしい。

そこでまずは「電通関西クリエーティブ塾」という、無料で半年間くらい電通の人に広告を学べる塾を受験した。入塾には選考があるのだ。

そこでの面接で「どうして入塾したいの?」と聞かれ、
「文章を書くのが好きだから。」と答えたら、
「それは広告じゃなくてもいいね。」と言われ落選。私は学んだ。
コピーライターになりたい動機が、文章を書くのが好きというだけでは、
大人は納得しないのだ。でも給与が安定しているからというのも可愛げがない。
コピーライターには確実になりたいのだけれど、人様に言えるような動機が見つからない。このままでは就職活動の面接も失敗。破滅だ。

と思っていた時に、宣伝会議コピーライター養成講座の存在を知った。
サークルの先輩が通っていて勧めてくださった。
この講座は選考がないからありがたい。でもその分、お金が必要になる。
学生には決して安くない金額。うどん屋のバイトの時給120時間分くらい。
私は受講料を入金する時に誓った。「絶対にもとを取ってやる。」

そして超まじめに講座に通った。極端な性格なので、就職活動はもう広告の会社しか受けないと腹をくくり、授業でやってくるすべての講師は、いつか自分の上司になるかもしれないという目で見つめた。(実際に多くの講師が上司になった。)

人生の転機になった授業

そんなある日、山本高史さんの授業があった。このことが私の人生の大きな転機になった。山本さんはこう言った。(私の記憶の中では。)

「広告は弱い人のためのもの。広告は無料だから、だれでも目にすることができる。そしてその広告は、その人を励ますかもしれない。広告は優しくないといけない。」

「コピーライターは、自分の人生で感じたことが、そのまま仕事になる。生き様で書けるコピーが変わってくる。だから面白い。」

本当にそうだと思った。広告は多くの小説や芸術と違い、無料で多くの人へ届けることができる。(私が大好きな無料だ。)
時には誰かを励ますかもしれないし、裏を返せば、傷つけるかもしれない。
広告は土着で下品で、その分、強い。広告は、選ばれた誰かだけのものじゃなく、みんなのもの。普通の家で普通に育った自分だから書けるコピーもあるかもしれない。

そうして就職活動の面接では、自分なりに解釈した広告への想い、コピーライターへの想いを必死に語った。受け入れてくれたのが山本高史さんもいた電通だった。(私の入社直前に独立された。)

あれから12年。

コピーライターという職業に壮大な夢を抱き入社したので、直面する現実を受け入れるのに時間がかかったけれど、今日もまぁ何とか広告をつくっている。

これから養成講座を受講される方もぜひ、恥ずかしさを捨て、やる気むき出しでのぞんで欲しい。学べるだけ学び尽くして、何とか全員でもとを取って欲しい。
私もいつか何かのもとを取れる日まで、コピーライターという職業にやる気むき出しでのぞもうと思う。

正樂地 咲 (しょうらくじ・さき)
電通関西支社 CMプランナー/コピーライター

2005年宣伝会議コピーライター養成講座基礎コース、2006年上級コースを受講。2007年電通入社。最近は、ダスキン「くらしのリズムを整えよう」シリーズ、江崎グリコ「HOBAL」「LIBERA」、象印マホービン「Share the Warmth」など担当。ラジオCMをつくるのも大好きです。

 

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