若者から中高年、医薬品から美容路線など、対象者を変えた商品展開
研究会の第2部では、各社に対するマーケティング企画の提案を行った。企業と大学生とのコラボレーションの案や、中高年の男性をターゲットにした服の展開、働くママを対象にした商品展開提案など、ここでも明確なターゲットがキーワードとなった。
アダストリアに対し世耕氏は、「ファッションを諦め始めた中高年の男性を対象にしたブランドの立ち上げはどうか。ワークアウトも健康のためだけだと続かない。ファッションを楽しむためのワークアウトと考えれば継続できる気がするし、ファッションが変わると保守的になりつつある思考にも変化が起きるのではないか」と提案。
それに対し久保田氏は、「アダストリアとしても、ターゲットの年齢層を上げていく必要性をとても感じている。地方のファッションモールに家族と来店した男性たちが自分で選べて買えるブランドをつくろう、という話が出ているが何度も消えている。若者向けに比べて、みんなの腰が重いことも事実。でも、そういった新しいことをやっていかなければいけない」と回答。
荒木氏も「働くママへ向けて社内社外両方着られる商品展開をしたらどうか。当社にも優秀な働くママがいるが忙しそう。どちらでも着られる服があれば助かると思う」と具体的な対象者を挙げて提案。「会社へ通うためにわざわざ服を買うのは、もったいないという流れも来ている。プライベートでも着られる服は需要があると思う」と久保田氏も大いに賛同した。
小林製薬に対して世耕氏は、「あったらいいな、の公募はどうか」と提案。「社員が考えたアイデアが化学専攻の学生たちによって開発され、おしゃれな学生たちによってデザインされるような形になったら、庶民の味方!というイメージがよりアップするのではないか」と話した。久保田氏も「まったく別の高級路線、美容路線にアプローチを広げてブランドを作っていくのはどうか」と提案し、コラボレーションや新企画など、大いに盛り上がるディスカッションとなった。
ディスカッションの最後に、加藤氏は「CMO CLUBは、ひとつの会社として考えると、食、民泊、旅行、ヘルスケア、金融、車など、ひとつの社会を形成する会社と言える。マーケティング予算も1兆円を超えるだろう。力を集結させれば、日本を動かしている力があると思っている。みなさんの話を聞き、他社の資源と組み合わせて発信できるような場を提供できるようなプロジェクトを新たに発足させていきたいと思った」と話した。
明確なターゲットに対してアプローチを続ける3社。若者の人口減少という課題を抱えながらも、コモディティ化から抜け出る秘策は、「たったひとりのお客さまをターゲットにする」というターゲットの明確化なのかもしれない。
JAPAN CMO CLUB
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