凸版印刷は9月26~27日、デジタルメディアを最大限に使うための施策を発信する「トッパンデジタルメディアカンファレンス2018」を東京都内で開いた。同社は自社データの活用による経済効果を「最低でも2倍」と試算する。データをどう分析し、いかに販促活動へ反映すべきか、それぞれの実務担当者が説明した。
凸版のコミュニケーションデザイン本部本部長の梅川健児氏は、集めた顧客データを活用する際は、「どんな人にリーチするかという『媒体ベース』、どの商品をリコメンドするかの『商品ベース』、どのタイミングでPRするかの『シナリオベース』の3点を意識するべき」と掲げる。
その上で同氏は、3つの「ベース」に基づいたデータ活用例を紹介。「媒体ベース」は、「既存ユーザーの傾向から、新規客となりうる要因を持った、サービス未利用者を絞り込む方法」、「商品ベース」は「某大手動画配信サービスのように商品を詳細に分類し、リコメンド(商品推奨)の精度を高める方法」、「シナリオベース」は「購入に至るまでの過程を把握し、購入から脱落した段階で適切な施策を打つ方法」を挙げた。
いずれの施策もデジタルによる情報配信が中心となるが、「流通の現場は忙しく、チラシ政策に加えて、LineやInstagramなどのデジタル販促を行うのは難しい」と話すのは、凸版の関西TIC本部の半谷圭介氏だ。同氏は「データの統合や抽出、コンテンツ制作、メディア配信などの効率化が必要」とする。
一方、トッパングラフィックコミュニケーションズの下村秀一郎氏は「デジタルによる販売促進は今後も拡大すると予想される。誰にどのような情報を発信するか、企業が選別の仕組みを確立することは避けられない」と指摘した。
凸版印刷はことし2月に、デジタル配信と折り込みチラシの両方を運用する専任チーム「デジタル編集室」を設置。流通企業の情報発信支援にも乗り出している。