【今回のポイント】
〇相手のビジョンや考えを理解したうえで話を聞き、顧客の問題を見つける。
〇互いにメリットがあるシナリオが描け、それが当事者にとって「自分事」化すると企画は一気に具体化する。
自分たちの問題しか解決できないアイデアは周囲を動かせない
今回は、前回の「顧客の問題解決」の続きで、具体例をいくつかご紹介したいと思います。
ネスレ日本は2017年の4月から、結婚情報誌「ゼクシィ」と組んで、イマドキの新しい夫婦を応援する 「コーヒーで話す、一日5分の“ふたり時間”」プロジェクトを始めています。
企画の発端は日本人がコーヒーを飲み始めるタイミングは「受験の時」「新社会人になった時」そして「結婚した時」という3つのタイミングであり、このタイミングで「ネスカフェ」ブランドとの接点をつくれないか、と考えたことです。
新婚の方と接点をつくるには?と考えて、真っ先に思いついたのが「ゼクシィ」でした。ですが、単に「ゼクシィ」の読者の方に、サンプリングをしてもらうだけでは、市場が成熟化した日本の環境では心に残るような体験にはなりませんし、それでは双方にとってメリットがあまりありません。
先方と話し合いを続ける中で、近年の社会環境の変化に伴い共働きの夫婦が増加しており、「互いに忙しくて一緒に過ごす時間をなかなか持てない」という「ゼクシィ」の先にいる読者の問題が見えてきました。そこでコーヒーを通じて、「新婚夫婦の“ふたり時間”を応援する」という共通のビジョンを設定し、プロジェクトをスタートさせました。